
静岡県伊東市の田久保真紀市長(55)が「東洋大卒業」と公表していた学歴が実際には除籍だった問題で、市議会は7日、市長に対する辞職勧告と地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委)設置の決議案を全会一致で可決した。田久保氏は同日夜に記者会見し「必要な手続きを済ませたら、速やかに辞任したい」と述べ、近く辞職する考えを示した。出直し市長選に臨む考えも明らかにした。
田久保氏は市議会で学歴を追及された際に「卒業証書」だとする文書を市議らに示していた。記者会見ではこの「卒業証書」や大学の卒業アルバムなどを静岡地検に提出し、詐称疑惑を検察の捜査に委ねる考えも示した。
辞職勧告決議案を提出した市議は「(学歴の認識が)錯誤だと強弁しても市政の混乱の責任がある」と提案理由を説明。5月の市長選で田久保氏を支援した市議も「クリーンな政治を求めるには、自らの疑惑に透明性のある釈明をすべきだ」と辞職勧告に賛成を表明した。
また、市内の建設会社社長の男性(58)は7日、市長選で報道機関の経歴確認に対して「東洋大卒」と回答したことが、公職選挙法が禁じる「虚偽事項の公表」に該当する疑いがあるとして、県警伊東署に刑事告発した。市職員労働組合連合会は同日、市に苦情が殺到しているとして「自ら招いた責任の所在を明確にすること」を求める要望書を田久保氏に手渡した。
田久保氏は伊東市で計画されている大規模太陽光発電所(メガソーラー)の反対運動をきっかけに政治活動に取り組み、2019年の市議選で初当選。今年5月の市長選では、前市長が進める市立図書館建設計画の中止を訴え、前市長優勢の見方を覆して当選を果たした。【若井耕司】