
国賓として天皇、皇后両陛下が滞在されているモンゴル。
ウランバートル郊外の空港からしばらくは大草原に馬や牛が放牧された雄大な景色が広がり、市街地に入ると一転して近代的な高層ビルが建ち並ぶ。
政府庁舎前には巨大なチンギスハン像が鎮座。空港も国立博物館も名前はチンギスハン。
歴史的偉人の存在感が強い国だ。
両陛下が宿泊するウランバートル中心部のホテル「シャングリラ」の周辺道路は、日本とモンゴルの国旗がはためく。
両陛下の大きな写真を壁面に掲げる建物もある。8日に開かれる晩さん会などの公式行事を前に歓迎の雰囲気が盛り上がっている。
日本からモンゴルへの観光客は年間約2万4000人。
ロケもストーリーも型破りなスケールで話題を呼んだ日曜劇場「VIVANT」(2023年TBS系で放送)の影響で、新たなモンゴルファンも増えたようだ。ロケ地を訪ねるツアーもある。
堺雅人さん演じる乃木憂助が盗聴器を仕掛けられた場面で映っていたのは国立オペラ・バレエ劇場。市街地を彩るこの建物は、第二次世界大戦の敗戦直後、シベリアに抑留され、モンゴルに移送された日本人が強制労働で建てた。
抑留者たちは、他にもウランバートル発展の礎となる施設の建設に従事した。
外務省、映画館、図書館、国立大学、政府庁舎の基礎――。
改修を重ねながら今も使われている。【ウランバートル山田奈緒】