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逆転の発想「味わい」に 陶土に鉄粉、釉薬使わず 佐賀・肥前吉田焼


 生み出された器に光沢やつやはまったくなく、質感は卵の殻のよう。佐賀県嬉野市で400年以上続く肥前(ひぜん)吉田焼が近年、注目を集めている。転機は新素材の陶土「晟土(せいど)」の開発。そこには環境負荷を減らそうと考え抜いた末の「逆転の発想」があった。

 晟土は陶芸家で「224(ニーニーヨン)」代表取締役の辻諭(さとし)さん(45)が考案した。関西の大学を卒業後、実家の窯が経営難との知らせを受け嬉野に戻り、作陶を始めた。

 器は通常、素焼き後に釉薬(ゆうやく)をかけて本焼きする2度の焼成があり、大量の二酸化炭素を排出する。焼き上がっても、原料に含まれる鉄粉などの影響で約10~20%の割合で表面に黒点や凹凸ができ、規格外品となっていた。

 新型コロナウイルス禍で客足が落ち込んだ時期、辻さんは資料などを読み込んで陶土を研究。規格外の原因となる鉄粉をあらかじめ練り込み、表れる点や凹凸を「味わい」へと変えることにした。

 また、釉薬を使わないことで、焼くのが1回で済むように。二酸化炭素の排出量は約40%減少し、不良品率も大幅に減った。

 器は石のような風合いで「料理が映える」と評判だ。晟土を使ったスタンダードな器のシリーズ「グラッド」は、佐賀市城内にある観光拠点施設のカフェで使われている。軽さや収納しやすさ、破損が少ないなどの特性も喜ばれている。

 自由でユニークな発想が生んだ晟土のシリーズ「うづら」(安積伸さんデザイン)は「地球の環境を守り持続可能な生活を生み出す器」と評価され、2025年に初開催された佐賀のデザインアワードで大賞に輝いた。

 「肥前吉田と聞いてもイメージが湧かない人が多い。でもそれは強み」と辻さん。「機械技術や通信の発達で、すご腕の職人でも実現できなかったことがかなう。産地そのものをデザインする勢いで、次世代に確かなものを伝えたい」と目を輝かせた。【田後真里】

224直営店

 佐賀県嬉野市嬉野町下宿乙909の1。嬉野温泉街にある公衆浴場「シーボルトの湯」から歩いてすぐ。暮らしを彩る器や雑貨がそろう。晟土を使った器も購入できる。電話(0954・43・1220)。

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