
北九州市の市街地が一望できる八幡東区の皿倉山(622メートル)の山頂付近に4月に設置されたロングスライダーで、利用した観光客が骨折して利用停止になっている問題で、市は27日、他にも骨を折る重傷を負った利用者や関係者が3人いた、と明らかにした。重傷者は計4人となった。
負傷したのは、スライダー設置当日の4月25日に試験滑走した八幡東区役所の40代男性職員と、5月5日に小学生の姉に抱きかかえられ滑った男児(2)が、いずれも着地の際に右脚のすねを骨折。5月18日には70代男性が着地の際に尻餅をつき尾てい骨を折った。
男性職員は当日に骨折が判明したが職場に報告したのは5月8日。事故報告を受け同区役所は着地部分のマットの長さを3倍に延長し、注意喚起の掲示を2枚追加していた。
市によると遊具は対象年齢が6~12歳。大人の利用を禁止はしていないが、体の大きな大人はスピードが出やすいため調整が必要として注意喚起をしていた。また、小さな子どもを抱いて滑ることも危険行為としていた。
市は適正な利用方法が伝わっていなかったことに問題があるとして、掲示する看板の多言語化や表示方法について改善し、滑り台付近でのアナウンスなど対策を講じた上で7月下旬の利用再開を目指す。遊具は安全基準を満たしたものだが、来週にも、遊具メーカーと改修が必要かも協議するという。
市みどり公園課の稲木禎徳課長は「スライダーは人気のある皿倉山に設置されており対象年齢外や多様な国籍の方の利用も見込まれる。安全確保の検討を進め、早急に対処したい」としている。【山下智恵】