
自動車メーカー「スズキ」(本社・浜松市)と同市内でレストランなどを展開する「鳥善」が25日、共同開発したレトルトカレーを発売した。スズキの社員食堂で提供され、インド人従業員から「おふくろの味」と慕われるベジタリアン(菜食主義者)向けカレーだ。スズキの鈴木俊宏社長は「外国人従業員の食環境を改善するために生まれた本場の味を多くの人に楽しんでもらいたい」とPRしている。
インドに開発・生産拠点があるスズキにとって、インド人に多いベジタリアン向けの食環境の整備は長年の課題だった。浜松市の企業が会員になっている食を通じた会合で、そんな悩みを、スズキ側が鳥善の伊達善隆社長に相談したことがメニュー開発のきっかけになった。2023年春から構想を練り、スズキの従業員を対象にベジタリアン料理の試食会とアンケートを繰り返した。
試行錯誤を経て、24年1月からスズキ本社の社員食堂で、実際にベジタリアン料理を提供。インド出身者だけでなく、他の海外出身者や日本人からも高評価を得た。発売されるのは、食堂で提供する十数種のカレーの中でも特に評判のよい「大根サンバル」「トマトレンズダール」「茶ひよこ豆マサラ」「青菜ムングダール」の4種類(いずれも税込み918円)。
商品のパッケージには、味や素材をイメージして四輪駆動車「ジムニー」など代表的な車種のイラストを描いた。また4種のパッケージを立てると、側面にキャラクターの「スズキ坊や」、鈴木修相談役(故人)、鈴木社長が並ぶイラストも楽しめる。
レトルトカレーは、スズキの商品紹介サイト「S―MALL」(https://s-mall.jp/)で購入できるほか、スズキ歴史館(同市中央区)やスズキ主催のイベントなどでも扱う予定だ。【照山哲史】