
警視庁は9日、捜査員が身分を偽って「闇バイト」に応募し、犯人グループに接触する新たな捜査手法「仮装身分捜査」を実施し、首都圏で発生している特殊詐欺事件について容疑者1人を5月に詐欺未遂容疑で摘発したことを明らかにした。仮装身分捜査を導入した摘発事例は全国初。
仮装身分捜査は、2024年8月以降に闇バイトが絡んだ強盗が相次いだことを受け、政府が現行法の範囲内で実施可能なあり方を検討。今年1月に警察庁が実施要領を策定した。4月22日には坂井学・国家公安委員長が一部の都道府県警が運用を開始したことを明らかにしていた。
実施要領では、対象事件を闇バイトが絡んだ強盗や特殊詐欺に限定することや、都道府県警本部長が捜査を指揮し、計画書を承認する形で進めることなどを規定。偽の身分証は、原則として犯人以外には提示しない運用としている。【菅健吾、朝比奈由佳、松本ゆう雅】