
ファミリーマートは、全国の店舗でレジ横に設置しているコーヒーマシンを7年ぶりに刷新する。豆のひき方を9段階で調整でき、好みに合わせて34種類のメニューを提供できる。世界一のバリスタに輝いた実績があり、今回のマシンを共同開発した粕谷哲さんは「僕らがお店で普段やっていることがコンビニでも実現できる。かなり画期的な機能」と太鼓判を押す。
ニーズの変化
ファミマのカウンターコーヒーは2012年9月から本格展開され、13年11月にブランドを一新した。1日当たりの売上高は24年に14年比1・2倍となり、過去最高を更新。粕谷さんと共同開発を始めた20年2月以降の販売数は、今月初めまでに累計17億3000万杯を突破した。
ファミマによると、コーヒーを飲む目的は「リラックスしたい」「気分をリフレッシュする」といったオフ需要が大半で、「眠気を覚ます」「ここ一番で集中するため」といったオン需要を大幅に上回ったとする調査もあるという。
高品質な豆が増え、飲み方も多様化し、嗜好(しこう)品として好みの幅が広がっているコーヒー。そんな市場ニーズの変化を捉え、「そのとき飲みたい味わい」を細かく選べるようにと、粕谷さんと今回のマシンの開発を重ねてきた。
26年5月までに全店入れ替え
その結果、新型マシンはコーヒーやカフェラテともに濃さを選べるようになり、従来の16種類から34種類にメニューが増えた。
従来はメニューごとに豆のひき方を変えることができなかったが、新型マシンは濃さやメニューに合わせてひき方を調整できる。
それにより専門店のように豆の香りが引き立ちやすくなった。また、均一に抽出できるよう、お湯の注ぎ方も従来のストレート型からシャワー式に変えた。
ブレンドは、雑味がなくすっきりした後味の「軽め」、控えめな酸味と濃い苦みが味わえる「濃いめ」など、コクやキレを3段階で選べる。
カフェラテは、コーヒーとミルクの一体感を味わえる「レギュラーラテ」のほか、濃厚なミルクの甘さが特徴の「ミルクリッチ」、コーヒー好きも満足できる「コーヒーリッチ」など、好みの味を選べる。
今月2日から大阪・関西万博の会場と東京都内の一部店舗で導入を始めた。26年5月までに国内全店舗で入れ替え、計2万7000~2万9000台を設置する予定だ。【佐久間一輝】