
岩手県大船渡市の大規模山林火災で、焼損した木の被害調査や水害対策が本格化している。焼失範囲が平成以降の山林火災では国内最大の3370ヘクタールと広大なうえ、6~7月は梅雨期のため、県や国が作業を急いでいる。
被害調査は衛星写真では判断できない地域に県や林野庁の職員が入り、目視で焼損程度を4段階で判定。所有者に通知する他、大船渡市が進める復旧造林事業の資料とする。
調査は5月8日に始まり、29日は職員45人が13班に分かれて山に入った。三陸町綾里の石浜地区にある杉林では、職員が地番が入った地図と長さ2メートルのポールを持参し、地番ごとに根元から焼損している範囲を調べた。
県の基準は高さ2メートル以上まで焼損している場合、被害「大」と判定する。判定が終わると、職員は地番内で代表的な被害木を定め、調査日などを記したテープを巻いた。調査は10月までに終了予定。
一方、水害対策の応急工事は21日に始まった。山林が焼失した地域では保水力が低下し、土石流が発生する危険性が高まっている。県は土砂災害警戒区域など29カ所に土のうや袋詰めの石を積む工事を発注している。
三陸町綾里の田浜地区では、沢を横断するように重さ1トンの袋詰めの石を高さ2メートルに積み上げる作業が続いている。28日までに積み上げた石の長さは23メートルに達した。
沢から20メートル下には10軒の民家があり、土石流が直撃する可能性がある。このため、土のうや袋詰め石で土砂の流速を遅くし、住民が避難する時間を稼ぐのが目的。県は6月上旬までに工事を終える方針。【奥田伸一】