
新ローマ教皇レオ14世(69)の就任式が18日、バチカンのサンピエトロ広場で開かれた。ローマ教皇庁によると、日本を含む約150の外交団が参列。政治指導者と欧州などの王族も数十人が列席したとみられる。
レオ14世はミサで「最初の大きな願いは、教会の団結だ」と強調。キリスト教カトリック教会が「世界の和解の象徴」となるべく、保守派とリベラル派の分断が指摘される教会の融和を呼びかけた。
ミサでの説教でレオ14世は、現状のグローバル経済を「地球の資源を搾取し、最も貧しい者を周縁に追いやっている」と批判。世界平和に向け、「一人一人の個人的な歴史や社会的・宗教的文化を尊重する」ことの重要性を訴えた。
また、世界で続く紛争にも触れ「(パレスチナ自治区)ガザでは子どもや高齢者らが飢餓に苦しんでいる」と懸念を表明。ウクライナ情勢については「公正で持続的な平和のための交渉を待ち望んでいる」と述べた。
就任式の直前にはオープンカーに乗って広場を回り、集まったカトリック信徒ら数万人に手を振った。赤ちゃんに祝福を与える場面もあった。
就任式にはウクライナのゼレンスキー大統領、ドイツのメルツ首相、イタリアのメローニ首相、カナダのカーニー首相、スペイン国王フェリペ6世らが参列。レオ14世の出身国の米国からはバンス副大統領とルビオ国務長官が出席した。
バンス氏とゼレンスキー氏は広場で握手を交わした。両氏は、2月に米ホワイトハウスでゼレンスキー氏とトランプ米大統領が会談した際に口論になっていた。
バチカンが欧州で唯一、外交関係を持つ台湾は、4月のフランシスコ前教皇の葬儀と同様、頼清徳総統ではなく陳建仁元副総統を派遣。日本からは自民党の麻生太郎最高顧問が特使として派遣された。
新教皇は、産業革命の時代に労働者ら弱い立場の人々の権利を守ったレオ13世(在位1878~1903年)の名を引き継ぎ、「レオ14世」と名乗る。その理由を、教会が「新たな産業革命と人工知能の発展に対応する」にあたり、立場が弱い人々を守るため「貧富の格差の克服に努める」意思を込めたと説明している。【ロンドン福永方人】