
「星野リゾート トマム」(北海道占冠村)が、展望施設「雲海テラス」の今季の営業を始めた。営業初日の8日は広範囲にわたる雲海が一望でき、国内外から訪れた観光客が絶景を楽しんだ。テラスの営業は10月14日まで。【森原彩子】
テラスは、トマム山(標高1239メートル)の頂上に近い標高1088メートルに位置し、気象条件が整えば、眼下に広がる雲海を見られる。
雲海の発生予測や観光客向けの解説などを担当し、「雲海仙人」を名乗るスタッフの鈴木和仁さん(61)は、テラス設置の発案者の一人。トマム山の雲海は、周辺のスキー場などのスタッフだけが知る「穴場」だったという。
営業開始日の8日にはオープニングセレモニーが開かれ、観光客ら約500人が朝日を浴びながら約1000ヘクタールのリゾート地に広がる雲海を楽しんだ。
営業期間中の雲海発生率は40~50%とされ、営業初日に雲海が発生したのは8年ぶり。営業期間の約5カ月間、毎日午前2時ごろ出勤し、雲海予測などに取り組む鈴木さんは「初日に雲海が出たのはラッキーとしか言いようがない」と話した。
鹿児島県から友人同士で訪れ、雲海を目にした田仲香さん(49)は「想像以上にすてき」、吉ケ崎いづみさん(62)は「早起きしてよかった」と感激した様子だった。
施設は2005年の営業開始から20周年を迎え、雲をモチーフにしたグッズ配布やケーキの販売、ラッピングバスの運行などの特別企画を用意している。
冬場はスキーを楽しめる施設だが、夏場も利用客を飽きさせないイベントを開催。約40頭の乳牛を飼育し、酪農や牛について知ってもらう「モーモー学校」を開催。お花見気分を味わえるアフタヌーンティーなども催している。
星野リゾート トマム総支配人の渡辺巌さんは「景色を見るだけではない、体験価値を届けたい」と来場を呼びかけている。
テラスに上るためのゴンドラの営業時間は午前5時~同8時(5月は午前5時~同7時)。ゴンドラの往復料金は大人1900円、小学生1200円。施設の宿泊者は無料。