
29日に川崎市の高速道路上を走り回り、神奈川県警に保護されたオスの柴犬(しばいぬ)が、無事、飼い主に引き取られた。SNS(交流サイト)に投稿された警察官による「捕物劇」を見た飼い主から、県警に連絡があった。
柴犬は29日午前11時ごろ、川崎市高津区の第三京浜下り線玉川料金所付近に現れた。「犬が本線を走り回っている」との110番通報で駆けつけた神奈川県警高速隊や、車を止めたドライバーらが取り囲み、20分ほどで高速隊員が捕獲した。
当初、名札がなく「飼い主は分からない」(高速隊)とされた柴犬は、最寄りの都筑署に連れていかれ、「遺失物」として扱われた。一方、道路上を逃げ惑う姿はSNSで拡散され「おまわりさんに抱かれた顔がかわいい」「ほっこりした」などと話題になっていた。
都筑署によると、投稿を見た飼い主の男性から「うちの犬ではないか」と県警に問い合わせがあった。29日午後3時半ごろ、飼い主が署を訪れ、飼い犬と確認して引き取った。
柴犬の名前は「こしょう」。飼い主は胸をなで下ろした様子だったといい、都筑署の副署長は「けがもなく無事に飼い主さんの元に戻って良かったです」と話した。
柴犬の捕獲時には、近づいておびき寄せようとした高速隊員の手を柴犬がかむような様子も見られたが、隊員にけがはなかった。
捕まえられてパトカーに乗せられる際は、周囲のドライバーたちから拍手が湧いており、その様子を見届けた男性は「目的地に着くのは少し遅れたが、ついほほ笑んでしまった。みんな『しょうがないな』という雰囲気でした」と振り返っていた。【春増翔太】