
米欧とウクライナの対ロシア停戦交渉へ向けた協議を巡り、露外務省のザハロワ情報局長は24日、ウクライナのゼレンスキー大統領が「妨害した」と批判し、「和平を阻止しようとの意図を裏付けた」と訴えた。
トランプ米政権の和平案はロシアに有利な条件が多いが、プーチン政権はさらに強気の主張も続けている。ウクライナにとって最大の支援国・米国が仲介を放棄し、軍事支援などを取りやめる事態も見据えているとみられる。
ロシアは2022年9月、広大な地域を占領したウクライナ東・南部のドネツク、ルハンスク、ザポリージャ、ヘルソンの計4州の自国領編入を宣言した。ただ、4州の一部は今もウクライナ側の統治下にある。
ペスコフ露大統領報道官は、23日に公表された仏メディアのインタビューで、戦闘終結について「4州からウクライナが軍を撤退させればそうなる」と改めて主張した。「(4州は)住民投票の結果、ロシアの一部となった」とも述べ、譲らない姿勢を強調した。タス通信が報じた。
英紙フィナンシャル・タイムズは22日、プーチン露大統領が、条件次第で4州全域を「自国領」とする主張を取り下げ、現状の占領エリアまでにとどめる考えを示したと報じていた。米国へ向けて一定の譲歩を示したとみられたが、今回のペスコフ氏の発言は報道内容を打ち消す形となった。
ペスコフ氏は「米露関係の正常化なくして、ウクライナとの紛争を解決することは不可能だ」とも訴えた。【モスクワ山衛守剛】