
社会福祉や男女平等などをテーマにメガホンを握り、1月に亡くなった山田火砂子監督の作品上映会が5月30、31両日に熊本市内である。遺作となった「わたしのかあさん―天使の詩―」と、熊本県出身で女性解放運動に生涯をささげた教育家、矢嶋楫(かじ)子(1833~1925年)を描いた「われ弱ければ 矢嶋楫子伝」の2本を上映する。
山田監督は東京都生まれ。女性バンド「ウエスタン・ローズ」で活躍後、舞台俳優を経て映画プロデューサーとなり、1996年、アニメ「エンジェルがとんだ日」で監督デビューした。社会派作品を数多く世に送り出し、亡くなる直前まで国内最高齢の女性映画監督として活躍した。
「わたしのかあさん―天使の詩―」は、知的障害の両親を持つ少女の葛藤と成長を描く。主演の寺島しのぶさんは主人公の母清子役、福祉施設園長を務める主人公高子を常盤貴子さんが演じる。知的障害のある長女を育てた山田監督の経験を基に、長女の通った養護学校(現特別支援学校)の恩師、菊地澄子さんの児童文学「わたしの母さん」を原作にしている。
「われ弱ければ 矢嶋楫子伝」の主演は常盤さんが務めた。男女差別が激しかった時代に、男女同権、一夫一婦制、婦人参政権など社会改革に取り組み、男女共同参画の礎を築いたその生涯を描く。
上映会は5月30日に熊本市中央区黒髪3の市男女共同参画センターはあもにいで、同31日に熊本市西区春日1のくまもと森都心プラザである。いずれも上映は午前10時半と午後2時で、30日は「わたしの――」から、31日は「われ弱ければ――」から上映する。
作品1本につき前売り券は一般1300円、当日は1800円。障害者手帳を持っている場合は1000円。
問い合わせは現代ぷろだくしょん(03・5332・3991)。【中里顕】