
東京都や地方都市で、ホテルの客室単価の上昇が続いている。東京商工リサーチの調査によると、上場するホテル運営13社(15ブランド)の2024年10~12月期の客室単価は、全社が前年同期を上回り最大で1・6倍に上昇した。旺盛なインバウンド(訪日客)需要などを背景に、「客室単価はさらに上昇が見込まれ、国内旅行客と訪日観光客で客室予約の争奪戦が激しさを増す見通し」(東京商工リサーチ)だ。
新型コロナウイルス禍前と比較可能なビジネスホテル8ブランドの平均客室単価は、19年10~12月期比で約45%増の1万3986円だった。価格設定が高めのシティホテル4ブランドも同約35%増の2万897円と直近5年で初めて2万円を超え、コロナ禍で2割台に低迷した稼働率も8割超に回復している。
客室単価の上昇は今後も続きそうだ。旅行大手JTBは、25年の訪日外国人客数を4020万人と推計。24年を約9%上回り、2年連続で過去最多を更新すると予想している。
ホテル業界は人手不足などによる待遇改善のほか、リネン代金の上昇にも直面している。東京商工リサーチは「値下げに働く要因は少ないのが現状。今年は大阪・関西万博など国内での国際イベントが目白押しで、客室需要は旺盛だ」と分析している。
一方、宿泊料金を巡っては、都内で高級ホテルを運営する15社が価格カルテルにつながるような非公開情報などを定期的に交換していたことも判明している。公正取引委員会は近く、再発防止を求める警告を出す方針とみられ、東京都の小池百合子知事は18日の定例記者会見で「消費者への信頼性の確保をお願いしたい」と事業者側に注文した。【柿崎誠】