
パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘を巡り、ハマス幹部のアルハヤ氏は17日、テレビ演説を行い、恒久的な停戦と引き換えに「人質全員を解放する用意がある」と語った。一方、イスラエル側が求めているハマスの武装解除については「(イスラエルによる)占領と結びついており、(武力闘争は)当然の権利だ」として、拒否する意向を改めて表明した。
ガザ地区にはハマスが拉致した人質約60人が残されており、このうち約25人が生存しているとみられている。停戦交渉を仲介するエジプトなどは3月、人質の一部を解放して恒久的な停戦に向けて協議を始める一時停戦案を提示し、ハマスは受け入れを表明した。だが、イスラエルはハマスの武装解除などを条件とする対案を提示していたとされる。
アルハヤ氏は演説で、イスラエルのネタニヤフ政権が「人質を犠牲にしても戦闘を続けようとしている」と非難。ガザ地区ではイスラエル軍の封鎖により飢餓が広がっているとして、国際社会に対し、イスラエルに圧力をかけるよう求めた。
中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、ガザ地区では17日もイスラエル軍の空爆などが続き、少なくとも32人が死亡した。2023年10月以降に戦闘が始まって以降のガザ側の死者は5万1000人を超えている。【カイロ金子淳】