
外務省は中国への修学旅行について、安全情報を確認した上で渡航の可否を判断するようホームページ(HP)で呼びかけを始めた。日中両国は2024年12月に修学旅行の受け入れ促進で合意したが、中国では広東省深圳(しんせん)市と江蘇省蘇州市で日本人らの死傷事件が相次いでおり、与野党から安全面で批判が出ていた。
外務省は11日から、「中国を渡航先とする修学旅行等を検討される学校関係者の皆様へ」と題する注意喚起をHPに掲載し、「刃物で一般市民が襲われるなどの重大事件や邦人が犠牲になる事件が発生している」と説明。修学旅行を実施する場合は出発の15日前までに都道府県などを通じて外務、文部科学両省あてに日程や旅行人数などを届けるよう求め、中国側に対しては児童・生徒と引率教員の安全を確保するよう、警備強化を要請する。
岩屋毅外相と中国の王毅外相は昨年12月、北京で「日中ハイレベル人的・文化交流対話」を開き、人的交流を通じた友好促進の一環で修学旅行の相互受け入れ促進で合意。これに対し、自民党の有村治子元女性活躍担当相や日本維新の会の西田薫衆院議員ら与野党議員から「中国へ行ってくださいとの誤解を与える」などの批判が上がった。岩屋外相は「日本政府が個々の学校に中国への修学旅行の実施を求めるものでなく、安全確保の支援をする」と国会質疑で説明していた。
外務省によると、昨年9月に日本人の男子児童(当時10歳)が刺殺された事件以降、国内の学校から生徒ら約300人が中国への修学旅行をしているという。日中関係を巡っては、政府が24年末に中国人観光客向けの査証(ビザ)発給で緩和措置を発表したところ、自民党保守派が反発したこともあり、「治安だけで考えれば中国の安全性は高いが、保守派への配慮も必要」(政府関係者)との声も出ている。【田所柳子】
