米連邦議会上院は8日の本会議で、国防総省ナンバー3の国防次官(政策担当)にエルブリッジ・コルビー氏(45)をあてる人事を承認した。対中強硬派の戦略家で、日本には防衛費を国内総生産(GDP)比3%まで早急に引き上げるよう求める考えを示している。国防総省では、ヘグセス長官や投資家出身のファインバーグ副長官は国防政策の立案経験が浅く、コルビー氏の政策立案面での影響力が強くなる可能性がある。
コルビー氏は、米国政府や政府の委員会のさまざまな職務を経て、第1次トランプ政権時の2017年に国防次官補代理(戦略・戦力開発担当)に就任。18年の国防戦略指針「国家防衛戦略(NDS)」の策定を主導したことで知られる。
中国の軍事力増強と覇権主義的な行動に警鐘を鳴らし、その抑止のため米国や同盟国の資源や能力をアジア太平洋地域に集中させるべきだと訴えてきた。21年の著書「拒否戦略 大国間紛争時代の米国の防衛」は、米国だけでなく日本でも話題になった。
祖父は、元米中央情報局(CIA)長官の故ウィリアム・コルビー氏。金融関係の仕事をしていた父とともに、子ども時代の数年間を日本で過ごした「知日派」の面もある。
コルビー氏は3月に上院軍事委員会が開いた公聴会に提出した書面で、日本は経済力があり、対中国の最前線に位置する「極めて重要な同盟国」だとし、「軍事面での関係」をさらに深める必要があると指摘した。
また、27年度までに防衛費をGDP比2%に引き上げる日本の方針について、「トランプ大統領は台湾にはGDP比10%、北大西洋条約機構(NATO)には5%への引き上げを求めている。この文脈で言えば、中国や北朝鮮の脅威を直接受けている日本が、GDP比2%しか支出しないのは道理に合わない」との考えを示した。【ワシントン西田進一郎】