米政治メディア「ポリティコ」は2日、トランプ米大統領が閣僚を含む側近らに対し、政府効率化省（DOGE）を率いる実業家のイーロン・マスク氏について「今後数週間で現在の政府の役職から退くだろう」と伝えたと報じた。複数の関係者の話としている。
マスク氏は、人員削減を含む急進的な連邦政府の改革を進める一方で、その強引な手法や言動は反発も招いている。報道によると、トランプ氏の側近らはマスク氏が「予測不能で管理しきれない」と不満を募らせ、「政治的な足かせ」との見方を強めている。マスク氏が政権高官らとの意思疎通を欠いていることにいらだつ声もあるという。
ただ、ホワイトハウスのレビット大統領報道官はX（ツイッター）で、今回の報道について「この『スクープ』はくだらない」と批判。「マスク氏とトランプ氏は公に、マスク氏がDOGEでの素晴らしい仕事を完了したら公務を退くと述べてきた」と指摘した。
マスク氏は期間限定の「特別政府職員」で、報道によると、任期は5月下旬から6月上旬に終わる見通し。政権高官の一人はポリティコに、マスク氏は任期終了後、顧問として非公式な役割を担う可能性があると述べた。
トランプ氏は依然としてマスク氏やDOGEに満足しているものの、両氏は最近、マスク氏が自身のビジネスに戻り、政府に関しては「サポート役」になる時期が来たと判断したという。マスク氏は米電気自動車（EV）大手テスラの最高経営責任者（CEO）なども務めている。
トランプ氏は1日、記者団に「マスク氏はいずれ自分の会社に戻りたいと思うだろう。彼をできる限り引き留めておきたい」などと述べていた。
テスラを巡っては、マスク氏の言動や人員削減への反発から、米国や欧州で不買運動が起きている。【ワシントン松井聡】
