
韓国各地で21日から相次ぐ大規模な山火事は5日目の25日夜になっても鎮火に至っていない。山林庁の25日の発表によると、被害が深刻な4地域だけで被災面積は首都ソウル市の約3割に当たる約1万7300ヘクタールに達した。4100人以上が避難生活を強いられている。韓国メディアによると、防災当局は25日、南東部・慶尚北道(キョンサンプクド)安東(アンドン)市の全住民に避難を呼びかけた。
21日以降、全土の40カ所以上で山火事が発生。これまでに消火活動中の消防隊員ら4人が死亡し、11人がやけどなどの重軽傷を負った。大半の地域で鎮火したものの、南東部や南部で火災が続いている。警察は一部の山火事について、失火の疑いで捜査を始めた。
被害が最も大きいのが、慶尚北道義城(ウィソン)郡とその周辺だ。22日に火災が発生し、25日夕までに約1万5100ヘクタールが被災。住宅や倉庫など約100の施設が被害に遭った。
さらに隣接する安東市に延焼した。同市の世界遺産「安東河回(アンドンハフェ)村」は、朝鮮王朝時代の伝統家屋が保存されており、日本人にも人気の観光地。1999年には英国の女王エリザベス2世が訪問したこともある。韓国紙によると、25日夕時点で同村まで約10キロの地点に火の手が迫っている。
消防当局や軍などが協力し、多数のヘリコプターも投入して消火活動に当たっているが、空気の乾燥と強風で難航。鎮火率は25日夕時点で60%にとどまる。消しても消しても火が広がることから、大手紙「朝鮮日報」は「ゾンビのような山火事」と伝えた。警察は墓地での作業中に火の不始末があったとみて、50代の男性を森林保護法違反容疑で捜査している。
また南東部・蔚山(ウルサン)市蔚山郡の山火事でも、警察が失火の疑いがあるとみて調べている。
21日から山火事が続き消防隊員ら4人が死亡した慶尚南道(キョンサンナムド)山清(サンチョン)郡とその周辺では、25日夕までに約1500ヘクタールが被災した。【ソウル福岡静哉】