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リチウムイオン電池混入、ごみ施設で火災相次ぐ 修繕費5億円超えも


リチウムイオン電池が原因とされる火災が全国のごみ処理施設で増加しており、特に埼玉県では深刻な問題となっています。上尾市と川口市のごみ処理施設では、電池による出火で大火災が発生しており、修繕や処理委託費が財政に大きな負担をかけています。上尾市では、火災防止のために電池を含む製品の分別を促進していますが、川口市ではごみ収集の中断が市民生活に影響を与える事態となっています。さらに、環境省のデータによれば、全国で年間約1万2700件のリチウムイオン電池起因の火災が発生しており、約35%の自治体が回収体制を整えていないことも明らかになりました。この問題に対処するため、安全な廃棄方法の周知が必要です。

復旧や処理委託費、財政の圧迫懸念

 リチウムイオン電池が原因とみられる火災が全国のごみ処理施設で相次いでいる。埼玉県内では、昨年12月に上尾市の処理施設で同電池が出火元の可能性が高い火災が発生。原因は特定されていないものの、川口市の施設でも今年1月に火災が起き、市内の一般ごみの収集を一時停止する事態に陥った。各所の被害の実態と対策を取材した。【加藤佑輔】

修繕に5億円

 上尾市のごみ処理施設「西貝塚環境センター」の火災は昨年12月25日午後2時20分ごろ、ごみを粉砕機に運ぶコンベヤー上で発生した。約2時間後に鎮火し、けが人はなかった。処理施設の運転にも支障はなく、市民への影響はなかったという。

 同センターの担当者は「リチウムイオン電池が出火原因の可能性が高い」とした上で、「一歩間違えれば、長期の稼働停止につながっていた」と語る。

 同センターによると、日々のごみ処理の中で、異常に高温になったごみを検知する「熱源検知器」が作動することは珍しくないという。原因のほとんどはリチウムイオン電池が内蔵された製品だ。

 モバイルバッテリー、スマートフォン、ワイヤレスイヤホン、電気シェーバー……。リチウムイオン電池は、軽くて長持ちし、繰り返し充電できる利便性から、現代の小型電化製品に欠かせない存在となっている。一方で、材料の電解液に可燃性の有機溶媒を使用しているため、強い衝撃を受けると内部でショートし発火しやすい。

 ごみとして捨てられたリチウムイオン電池が原因とみられる火災は、収集時や粉砕時の衝撃で出火したとみられるケースが多い。上尾市では2020年にも西貝塚環境センターで同電池が原因とみられる火災が発生しており、修繕などに5億円以上を要した。

 正しい分別を促すため、上尾市ではホームページ上で同電池を使用している主な製品をイラスト付きで紹介し、市役所などに製品を回収する「小型家電回収ボックス」も設置している。

市民生活影響も

 火災により稼働停止を余儀なくされた施設もある。川口市のごみ処理施設「朝日環境センター」だ。焼損したごみクレーンの修繕などに時間がかかり、ごみ処理の一部再開は今年12月ごろ、完全復旧は来年3月ごろの見通しとなっている。

 センターによると、今年1月3日、ごみをためておく「ごみピット」内で火災が発生。市内の一般ごみの収集が一時停止する事態となり、収集所に未回収のごみがあふれるなど、市民生活に大きな影響を及ぼした。現在も近隣自治体や民間事業者にごみ処理業務を委託している。そうした委託費や施設の復旧費は、少なくとも65億円以上に上るとみられるが、全容は明らかになっておらず、財政負担が今後膨らむことも懸念されている。

 出火原因は特定されていない。市はリチウムイオン電池など何らかの発火物が混入していたとみている。対策として発火監視システムと自動放水銃を今後導入する予定だ。

 センターの平山英俊所長は「リチウムイオン電池は絶対に一般ごみに混入せず、『金属類』に分別して出してもらいたい」と訴える。金属類で出されたごみは、収集時に圧縮せずに運搬し、再資源化するために市が分別を行っているという。

    ◇

 環境省によると、リチウムイオン電池が原因とみられるごみ処理施設やごみ収集車の火災は20年度、約1万2700件発生した。また、同省が23年度に全国の自治体に行った調査では、約35%が「不要となったリチウムイオン電池の回収はしていない」と回答している。捨て方が自治体によっても異なる中で、安全な廃棄方法をどう周知していくかが今後の課題となりそうだ。

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