
神様が納得し、両手で「○」を示せば花びら、「×」を示せば水を浴びせられる――。
1980年代のフジテレビを彩った人気バラエティー番組「オレたちひょうきん族」の看板コーナー「ひょうきん懺悔(ざんげ)室」。そこで神様役を演じていたブッチー武者さん(72)が、今も「懺悔」を受け付けている。【杉田寿子】
ひょうきん族のトリを飾った「懺悔室」には、NGを出した出演者が登場。釈明を聞いた神様が審判を下した。
大物芸能人にも容赦はなく、ずぶぬれになる姿がお茶の間の笑いを誘った。最近ではフジテレビの日枝久相談役(87)が編成局長時代に懺悔室で豪快に水を浴びていたことがSNS(ネット交流サービス
)で話題になった。
「そんたくなしでやっていたから人気だったのかな」。そう振り返るブッチーさんは現在、芸能プロダクション運営の傍ら、東京都新宿区歌舞伎町でスナック「女無BAR(メンバー)」を営んでいる。
店では夜な夜な、フジテレビ黄金期を懐かしむ「信者」ならぬ常連客からのリクエストで「生懺悔」が執り行われる。
ひざまずいた客が告白するのは、日々の過ち、やましい思い、心の中のモヤモヤ……。ブッチーさんが「○」を出せば天使のささやき、「×」を出せば「バシャー」という水の音が店内に流れる。花びらも水もかけられることはない。
店は今年で27周年。ブッチーさんは「ひょうきん族」を手がけた名プロデューサー、横澤彪(たけし)さん(故人)からの忠告を胸にやってきた。
「だんだんと視聴率が上がってくると、いろんな人が言い寄って来るから、それだけは気をつけろよ。せっかく視聴率が上がって、良くなってきているから(常識を)逸脱しないように」
ブッチーさんの願いは、悩める子羊たちが「明日からもう一度やり直すぞ」と前向きになってくれること。悩み多き時代ゆえに「今こそ、懺悔を」と呼びかけている。