
小林製薬の紅こうじサプリメントによる健康被害問題で、大阪市は調査結果を取りまとめ、19日、厚生労働省に提出した。厚労省は腎障害の原因物質を青カビ由来の「プベルル酸」と確認。市は報告書で、同社が「カビ混入の危害を十分認識できていなかったことが食中毒の直接的要因」と結論付け、衛生管理体制に不備があったと指摘した。
市は健康被害の調査票を回収できた4418人のうち、問題のサプリを摂取した可能性が高い2782人を解析。腎障害などを把握したが、症状が多岐にわたるなど通常の食中毒と異なる側面があるとして、被害規模は特定しなかった。
青カビの混入経路を巡っては、経年劣化でできたとみられる紅こうじ菌の培養ドラムの亀裂から胞子が入り込むなど複数の可能性に言及した。原料の製造ラインでは、菌の培養記録に不備があったほか、菌の培養ゾーンで工事が行われている間も培養を継続。必要な検証が行われず、ルールも形骸化していた。
2024年1月に医師から小林製薬に最初の被害報告があってから、市への報告や公表まで2カ月以上かかった点については「健康被害を複数探知した段階で行政に報告していれば、被害拡大の防止につながった」と指摘した。
小林製薬は19日、取材に「改善を要するとの指摘を大変重く受け止めています。再発防止策を確実かつ誠実に実行し、信頼回復に真摯(しんし)に努めてまいります」とコメントした。【鈴木拓也、長沼辰哉、妹尾直道】