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肥満症、患者の9割「自己責任」と回答 専門家「個人の責任でない」


最近の意識調査で、肥満症患者の約9割が肥満を「自己責任」と捉えていることが明らかになった。肥満症は遺伝や環境など様々な要因が関与しており、原因の特定には慎重さが求められるにもかかわらず、この誤った捉え方が適切な医療相談を妨げている可能性がある。一方、同じ質問に対して医師の64%が肥満は「本人の責任」と回答したが、完全に患者の責任と考えた医師はわずか6%に過ぎなかった。肥満に対するスティグマが依然として社会に根強く残っていることから、日本肥満学会や専門家たちは、肥満症を個人の責任にのみ帰するのではなく、社会全体で正しい理解とサポートを行っていくことの重要性を指摘している。

 肥満症患者の約9割が肥満を「自己責任」と捉えていることが、製薬会社の意識調査で明らかになった。肥満症は、遺伝などさまざまな要因が考えられ、原因の特定は本来は慎重であるべきだ。しかし、「自分に責任がある」と考えることで、医師に相談せず、適切なケアを受けられない状況を生んでいる恐れがある。

 肥満症は単に肥満(体格指数BMIが25以上)であるだけでなく、高血圧や糖尿病など11の健康障害のうち一つ以上が当てはまる場合などをいう。

 調査は日本イーライリリーと田辺三菱製薬が2024年11月、インターネット上で実施し、肥満症患者と医師、それ以外の一般生活者の計1600人から回答を得た。

 肥満は誰の責任か聞いたところ、患者の87%が「本人の責任」と答えた。このうち「100%本人の責任」と回答した患者は63%だった

 同じ質問を医師にしたところ、「本人の責任」と答えたのは64%だった。うち「100%本人の責任」と答えた医師はわずか6%だった。

 日本肥満学会が作成した「肥満症診療ガイドライン2022」によると、肥満症は遺伝のほか、成育や発達、社会的要因などさまざまな要因が関係して発症する。日本肥満学会は、「必要以上に食習慣など自己管理の問題にされがちだ」としている。

周囲の冷たい目も

 治療については、医師の87%、患者の78%が、「他の病気と同等かそれ以上に治療が必要」と答えた。

 しかし、保険診療で積極的に治療することについては、医師でもなく患者でもない一般の回答者のうち47%が「好ましくない」「どちらともいえない」と回答した。医師の21%、患者の34%を上回り、一般の人々の間では抵抗感がうかがえた。

 調査を監修した琉球大大学院医学研究科の益崎裕章教授は「肥満に対するスティグマ(負の烙印=らくいん、偏見)が予想以上に根強いことが明らかになった。肥満症は決して個人の責任ではない。適切なケアを受けてよりよい人生を送るためには、本人を含め社会全体で正しく理解し、スティグマを解消していく取り組みが重要だ」とコメントしている。【太田敦子】

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