
石破茂首相が自民党衆院1期生との会食に際し、首相事務所が土産を名目に1人10万円分の商品券を配布した問題を巡り、与党内からも「首相自身の問題だから、かばいようがない」など首相の責任を追及する声が相次いだ。
問題発覚を受けて、政権を支える党幹部は「石破さんらしくないことをしたものだ」とため息をついた。高額療養費の患者負担増を巡り、首相の決断が二転三転し、政権の不安定さが露呈したばかりなだけに「一難去ってまた一難だ」と頭を抱えた。
首相は14日午前、首相官邸で記者団の取材に応じ、「私のポケットマネーから慰労のつもりで渡した」と強調。政治資金規正法が禁止する「政治活動に関する寄付」には当たらず、法的に問題はないと釈明した。
ただ、党閣僚経験者は派閥裏金事件を引き合いに「裏金事件も法的にはほとんどの人が不起訴だった」と批判。昨年10月の衆院選で裏金議員15人を非公認とし、公認した場合でも比例代表との重複立候補を認めないなど厳しく対応してきた首相の責任を問う声は、党内でも強まっている。7月に参院選を控える中で、「クリーンな政治」を掲げる公明党の関係者は「かばいようがない。もう石破さんは立っていられないだろう」と突き放した。
自民ベテランは「高額療養費の問題がかなりひどかった。ここに来てさらにこの話だ。内閣支持率はかなり落ちるかもしれない」と政権運営へのダメージを懸念。「これ以上自民党が沈めば政権交代になる」と語った。【小田中大、野間口陽】