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「温かい風呂に入ってごめん」と子にわびる父 知床遺族、悲痛の法廷


知床半島沖で沈没した観光船「KAZUⅠ(カズワン)」による事故について、札幌地裁で損害賠償訴訟が始まりました。原告11人は、同事故で理不尽に家族を失ったことへの悲しみと怒りを、船を運営していた桂田精一社長に訴えました。34歳の息子を亡くした母親は、息子の命が幸せに生きるためにあったと涙ながらに語り、一緒に過ごした日々を回想しました。また、別の息子を持つ父親は、事故後の自責の念と、船会社の安全管理が不足していたことに対する怒りを示しました。事故から約3年が経過しても、原告の悲しみは癒えていません。閉廷後の記者会見では、原告たちは桂田社長が被害者遺族と目を合わせなかったことに対しても遺憾を表明しました。

 事故さえなかったら。安全管理がなされていたら――。13日に札幌地裁で開かれた、知床半島沖で起きた観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」沈没事故を巡る損害賠償訴訟の第1回口頭弁論。意見陳述に臨んだ原告11人は、理不尽に家族を失った悲しみと怒りをそれぞれの言葉で桂田精一社長(61)に訴えた。

 「桂田さん。息子は船の安全を正すために生まれたのではないのですよ。息子の命は幸せに生きるためにあったはずです」。34歳だった息子を亡くした女性は、桂田社長の方を向いてそう伝えた。

 事故後、幼い頃の息子を抱きしめて泣いて謝る夢を何度も見たという。「もう一度、笑顔の息子に会いたい。食べることが大好きだった息子の『うまかった、ごちそうさま』が聞けないのが寂しい」と声を震わせた。

 同じく34歳だった息子の父親は「入浴時、『お父さんはこんなに温かい風呂に入ってごめんな』と心の中で息子にわびる。冷水をかぶって、息子の苦痛を忘れないようにしている」と悔しさをにじませ、「安全意識のかけらもない桂田被告や会社が、人命を預かる商売をしていたと思うと怒りがこみ上げる」と憤りをあらわにした。

 閉廷後には意見陳述した原告5人が記者会見。父親が行方不明になった男性は「事故から3年近くがたつが怒りと悲しみはそのまま。桂田氏は下を見たまま私たちと目を合わせなかった」と憤った。

 非公開で陳述した鈴木智也さん(当時22歳)の父親は、智也さんの写真とともに会見に臨み「この若さで息子が亡くなった悔しさと、本人がどれだけつらかったかを代わりに伝えたくて写真を持ってきた。息子に良い報告ができるよう訴えていきたい」と今後を見据えた。【後藤佳怜】

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