
シリア西部ラタキア県で6日、アサド前政権を支持する武装集団と暫定政権の治安部隊が衝突し、治安部隊側の少なくとも15人が死亡した。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」などが報じた。昨年12月にアサド政権が崩壊してから8日で3カ月となるが、治安悪化の懸念が高まっている。
報道によると、武装集団はラタキア県内の複数の場所で、巡回中の治安部隊や検問所などを襲撃したとみられる。攻撃の直後、前政権時代の軍司令官がビデオ声明を出し、暫定政権に対抗するために「連隊」を組織したと表明したという。今後も衝突が続く可能性があり、暫定政権は治安部隊の増強を進めている。
また、西部タルトスでは暫定政権に対する抗議デモがあり、外出禁止令が出された。中部ハマやホムスなどでも緊張が高まっている模様だ。
ラタキア県やタルトス県はアサド前大統領と同じイスラム教少数派アラウィ派の住民が多く、前政権を支援していたロシア軍が駐留する基地もある。アラウィ派はアサド政権下では軍や情報機関の中枢を占めていた。暫定政権は前政権の協力者の摘発を進めており、アラウィ派の間で不満が高まっている可能性がある。【カイロ金子淳】