
兵庫県の斎藤元彦知事らがパワーハラスメントを含む複数の疑惑を文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委)は4日、最終報告書をまとめた。斎藤氏が県職員を叱責したとする複数の行為を事実と認定し、「パワハラと言っても過言ではない」と結論付けた。報告書に法的な拘束力はなく、斎藤氏の対応が注目される。
一連の問題は元県西播磨県民局長が2024年3月、パワハラや贈答品の「おねだり」を含む七つの疑惑を示した告発文書を一部の報道機関や県議に匿名で配布したことで発覚。間もなく、県は内部調査で告発者を特定した。
この4カ月後、県議会が設置した百条委に証人として出席予定だった元局長が親族宅で死亡しているのが見つかった。自殺とみられている。
告発文には「(斎藤氏は)出張先で20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされたことに立腹し、職員らを怒鳴った」「パワハラは職員の限界を超え、あちこちから悲鳴が聞こえてくる」などと書かれていた。
報告書は斎藤氏の指摘された行為について「優越的な関係を背景とした言動」などパワハラの定義を全て満たしている可能性があるとしたうえで、「不適切な叱責があったと言わざるを得ない」と断じた。
知事ら特別職を含む管理職に対し、怒りの感情をコントロールする「アンガーマネジメント」研修など踏み込んだ対策の実施を求めた。
斎藤氏は百条委の証人尋問などで、自身の言動について「厳しく注意、指導することはあったが、業務上必要な範囲で社会通念上の度を越えて暴行罪に該当するようなことはしていない」と訴えていた。【栗田亨、中尾卓英、山田麻未】