
太平洋戦争下の1942年2月、海底坑道の水没事故で183人(内訳は朝鮮半島出身の労働者136人、日本人労働者47人)が亡くなった「長生(ちょうせい)炭鉱」(山口県宇部市)で、遺骨収容に向けた調査をしている市民団体が28日、東京都内で政府に申し入れを行った。「日韓国交正常化60年、戦後80年の節目に政府として誠意を示してほしい」と積極的な対応を求めた。
「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」の井上洋子共同代表(74)が、厚生労働省に対して予算や技術面での支援を、外務省には収容を韓国との共同事業に位置づけることなどを要請した。両省の担当者はそれぞれ「安全性に懸念があり、対応可能な範囲を超えている」「遺骨の早期返還は重要。可能な限り対応するが、安全性に懸念がある」などと答えたという。
同会によれば、坑道の出入り口(坑口)は空気に触れたことで劣化が進み、1年程度で朽ちて塞がってしまう可能性がある。ダイバーの安全を確保し収容を行うための補強工事が必須となる。また海上のピーヤ(排気口)からも調査を進めるためには、内部の障害物を除去する必要があるという。
同会はクラウドファンディングなどで資金を集めて2024年9月、坑口を発掘。閉鎖環境潜水の専門家、伊左治佳孝さん(36)によるこれまでの潜水調査で坑道の状態が分かってきたが、遺骨は見つかっていない。3月中に障害物の撤去を、4月1~4日に新たな潜水調査を行い、同1、2日は伊左治さんが韓国のダイバーと共同調査する。
井上さんは「日本の海の中に遺骨を放置したまま(日韓の)未来志向や友好などと言ってほしくない」と訴えた。【栗原俊雄】
