
「万博特需」はやってくるのか。大阪・関西万博(4月13日~10月13日)を前に、ホテルの新規開業やリニューアルなどが大詰めとなっている。業界からは「特需」に期待する声も上がるが、果たして――。
大阪のビジネス街・本町に1月中旬、3棟のホテルが同時に開業した。インターコンチネンタルホテルなどを展開するIHGホテルズ&リゾーツの「ガーナーホテル」。客室は3棟を合わせて約500室に上る。
高級なイメージの強い外資系ホテルグループが展開するが、レストランなどのない宿泊特化型ホテルで、宿泊料金は1泊1万円台前半から。
万博のスタッフやシャトルバスの運転手、会場の警備員など、「裏方」を担う企業からの予約や問い合わせが相次いでいるという。
人気の理由は、万博会場の人工島・夢洲までのアクセスの良さだ。ホテルの最寄り「本町駅」から、地下鉄の大阪メトロ中央線で乗り換えなしに約20分で「夢洲駅」に行くことができる。
担当者は、「4月以降は『万博特需』で9割以上の稼働率を予想している。万博関係の会社や団体に加え、開幕後は観光客も増えてくるだろう」と自信を示した。
2820万人の来場者が見込まれる大阪・関西万博。日本国際博覧会協会が公表したアクションプランによると、来場者の約9割を国内客が占め、うち4割近くが近畿圏外から来訪すると想定している。宿泊が必要な地域からの集客が進めば、大阪周辺のホテル全体が活況を呈しそうだ。
ただし、肝心の万博入場券の売れ行きは伸び悩んでおり、想定通りの来場者を期待できるかは不透明だ。大阪市内の高級ホテルの担当者は「まだ日本人観光客の予約に大きな動きは見られていない」と指摘する。
星野リゾートの「OMO7大阪」(大阪市)は万博を盛り上げようと、館内で「空飛ぶクルマ」の試験機体の展示を始めた。さらに、世界各地の万博を訪問している「マニア」が講師を務め、万博の見どころを解説する講座も開設している。
OMO7大阪の蕪木翔太総支配人は「万博期間中の(予約などの)問い合わせは多い」と期待を示す。
一方で、万博を目的とした日本人客の予約が急激に入っているかというと、そうではない模様。
「日本人客は長期休暇の日程が決まったタイミングで予約の数が増えてくる。予約そのものはインバウンドの影響で前年よりも伸びているが、万博効果という面はまだ確認中だ」と慎重に話した。【小坂剛志】