starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

「地獄で生きている」 インドで100年続く火災の真実


インドのジャリア炭田では、100年以上にわたり地下火災が続き、周辺住民の生活に深刻な影響を及ぼしています。この地域では地下の一部が空洞化し、地盤崩壊による死傷事故も発生しています。火災の原因は不明ですが、採掘後の放置が一因と指摘されています。安全対策が不十分だった利益優先の過去の採掘方法が、現在に至るまでの問題を引き起こしています。消火作業として不活性ガスの注入などが行われましたが、火災は未だに完全に鎮火していません。現在、政府は住民の移転とさらなる石炭の採掘を進めることで、問題解決を目指しています。

 乾いた砂地から炎と煙が立ち上がっていた。インド東部ジャルカンド州ダンバードにあるジャリア炭田では、地下火災が100年以上前から続いている。「地獄で生きているようなものだ」。炭鉱周辺で暮らす住民の権利擁護団体「ジャリア炭田を救う委員会」のラジブ・シャルマ代表(55)はそう語る。なぜ地下火災はこれだけ長期にわたって続いているのか。

 ジャリア炭田は約280平方キロメートルに及ぶ大規模炭田だ。石炭省は2021年時点で火災の発生地点は27カ所、影響を受けている地域は1・8平方キロメートルに上るとしている。

 権利擁護団体のシャルマ氏によると、火災によって地下の一部が空洞になり、これまでに複数の住民が地盤崩壊によって死傷した。インドメディア「ヒンドゥスタン・タイムズ」は17年5月、地盤が崩れて地下の空洞に落下した父子が死亡したと報じた。

 地下火災がくすぶる地域にある集落で暮らすシャンティ・デビさん(50)は「家の下の地盤が崩れて炎にのまれてしまったらと思うと、恐ろしい」と話す。

 ジャリア炭田では1890年代に民間業者による採掘が始まり、1970年代に国有化された。現地で火災が初めて確認されたのは1916年にさかのぼる。原因は明らかになっていないが、石炭を採掘し終えた後に放置された炭鉱から発火した可能性などが指摘されている。

 石炭省は「国有化前の炭鉱は、利益追求型の手法で炭鉱が運営されていた」とした上で「安全や環境への配慮はほとんどなく、深刻な土壌の劣化と地盤沈下、炭鉱火災や、そのほかの社会環境問題が生じた」としている。

 これまでに不活性ガスを注入するなどの消火作業が進められてきたが、火災を消し止めるには至っていない。当局は現在、火災の影響を受けている地域で住民の移転を進めるとともに、石炭の採掘を急いでいる。インド工科大ダンバード校のディーラジ・クマール教授は「(燃料となる)石炭を採掘し尽くせば、火災もなくなるだろう」と話した。【ダンバードで川上珠実】

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2025
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.