
2024年11月の兵庫県知事選を巡り、誹謗(ひぼう)中傷の一因となった情報に日本維新の会所属の県議2人が関与していたことが明らかになった。「軽率だった」「私が書いていない」。19日、政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首に文書の提供を認めた県議は釈明に追われた。
「その場に同席していたことからすると、私から渡したといわれても抗弁のしようもない。大変、軽率で申し訳なく思っている」
維新の岸口実県議(60)は19日、県庁で報道陣の取材に応じ、立花氏に文書を手渡した場に立ち会ったことを認めた。
斎藤元彦知事の失職に伴う知事選告示翌日の24年11月1日、立花氏は街頭演説で、県議会の調査特別委員会(百条委)で真相究明に当たった竹内英明元県議(1月に死亡)を名指しし、「ありもしないうそ、うわさ話をつくった人ですよ」と批判した。その後、竹内さんがインターネットでの誹謗中傷に苦しむきっかけの一つになった。
発言の根拠として、立花氏は「秘密の文書」を挙げた。斎藤知事にとって不利な情報を一部の県議がマスコミにリークしているとの記述があり、「黒幕(主犯格)は竹内(県民連合)。知事失職が最終的な狙い」と批判する内容で、作成者は不明だった。
立花氏は動画サイトで、この文書を神戸市のホテルで「片山安孝元副知事の仲介人から手渡された」と説明し、竹内さんが亡くなった後、その人物が岸口氏だったと明らかにした。
岸口氏や維新によると、24年11月1日に民間の知人に誘われ、立花氏と面会したという。「何か目的をもって会ったわけではなかった。当時はこのような選挙結果になるとは想像もしていなかった」と説明した。
岸口氏は立花氏に提供した文書の内容について「私が書いたものではない。その場で読んだ」とした上で、「当時は書いている内容が事実かどうか判断がつかなかった」と釈明した。
提供した文書が誹謗中傷の一因となった可能性について、「結果として、私自身受けとめなければいけないところはある」と述べた。
調査を進める維新は近く、報告書をまとめ、地域政党・兵庫維新の会が岸口氏の処分を検討する。維新の岩谷良平幹事長は「除名に当たるような大きな違法行為ではないと認識しているが、政治倫理上、問題のある軽率な行為だったと思う」との見解を示した。
片山氏は代理人弁護士を通じて「立花氏と面談したこと、話したことは一切ない」とする書面を公表している。斎藤氏は19日の記者会見で「どういった文書を渡されたのか知らないので、コメントのしようがない」と話した。
一方、維新の増山誠県議(46)は19日夜、インターネット番組に出演し、知事選への影響を避けるため非公開で行われた昨年10月の百条委(秘密会)の録音データについて、立花氏に提供したことを認めた。
増山氏は「録音してデータを渡したのは私だ。公開前に提供したのはルール違反なので謝罪したい」と陳謝した。維新幹部も経緯を把握しており、詳細を調査している。【栗田亨、大野航太郎】
