
兵庫県の斎藤元彦知事らがパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で、県議会調査特別委員会(百条委)の報告書の素案が明らかになった。提言案として、告発者の元県西播磨県民局長の男性が、告発を理由に受けた懲戒処分の撤回が盛り込まれている。また、パワハラが指摘された事例について「おおむね事実」とする評価が大勢を占めた。ただ、一部会派に異論もあることから協議は継続し、3月上旬の最終報告を目指す。
元局長は2024年3月、パワハラなど七つの疑惑を告発する文書を一部報道機関や県議に匿名で配布した。間もなく県の調査で特定された。元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じた公益通報者保護法の対象外と判断。元局長は5月、停職3カ月の懲戒処分を受け、7月に死亡した。
素案は、調査で明らかになった事実関係について、各会派の評価を集約。その結果、告発文の存在を知った斎藤氏らが告発者捜しをしたことについて「公益通報者保護法に違反」との見解が主流となり、提言では処分の撤回を求める。複数の会派からは「公益通報者の探索など不当な調査に基づく処分で、元局長の名誉回復のために処分の撤回が必要だ」との意見が出された。
また、斎藤氏が職員らを強く叱責するなどしたことについて、「パワハラの可能性がある」との見解が多数を占めた。
一方、県議会第2会派・維新の会県議団は、斎藤氏擁護の立場からパワハラなどの認定に否定的な見解を示しており、最終報告の取りまとめに向けて協議が続けられる。
素案について、斎藤氏は19日の記者会見で「正式な報告書が提出されていない段階なので、コメントを差し控えたい」と述べた。【中尾卓英、栗田亨、山田麻未】