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今季も現れぬ諏訪湖の「御神渡り」 「後世に伝えるため」記録残す宮司


長野県の諏訪湖における自然現象「御神渡り」が、今季も現れず、7季連続で「明けの海」となりました。戦国時代の8季に次ぐ記録で、八剱神社の宮坂清宮司は気候変動と温暖化の影響を懸念しています。 観察は室町時代中期の1443年から続いており、今季も全面結氷せず、暖かい冬が原因とされています。立春を迎えても結氷は難しく、最終判定を持ち越しましたが、最後の寒波で結氷の兆候が一部確認されたものの、強風と波で再び解氷。例年通りの「明けの海」となりました。 宮坂宮司は観察の重要性を訴え、記録を後世に伝えることを強調しました。今後の寒冷予報も見込めず、温暖化の影響を示す兆候として観察を続ける意向を示しています。

 凍った諏訪湖(長野県)に出現する「御神渡(おみわた)り」。氷が割れて山脈状にせり上がる自然現象は今季も現れず、7季連続で「明けの海」となった。御神渡りの判定と神事をつかさどる八剱(やつるぎ)神社(諏訪市小和田)によると、戦国時代の8季に次ぐ記録だ。宮坂清宮司(74)は15日の「注進奉告祭」で神前に「寒気続かず明けの海となり御渡(みわた)りござなく候なり」と告げ、「気候変動、温暖化が湖上に現れている」と懸念を表した。

 今季、宮坂宮司と氏子総代(岡崎広幸大総代、30人)が結氷状況を見る「湖面観察」は小寒の1月5日午前6時半に始まった。

 室町時代中期の1443年から今日まで続く観察は583年目。宮坂宮司によると「全面結氷は、(最低気温が)氷点下10度近い日が3日は続かないと」難しい。厳寒の日はなかなか訪れず、岸辺周辺に薄氷が張るのみ。1年で最も寒い日とされる大寒(1月20日)も、観察現地は気温0度と3月下旬並みの暖かい朝だった。

 全面結氷することなく迎えた立春(2月3日)の最低気温は1・7度。全面結氷は「非常に厳しい」(宮坂宮司)状況だったが、9日前後に今季最強寒波の予報が出ていたため、「最後の望み」をかけ、例年は立春に行っていた最終判定は持ち越し。全員での観察は一区切りとし、一部の総代で観察を続けることにした。

 9、10日の2日間は予報通りの寒波でほぼ全面結氷。観察場所の突堤先端から今季初めて、御神渡りの兆候となる「氷が裂けた筋」が数本確認された。宮坂宮司は「人間でいうと赤ちゃんの誕生。りりしい青年の姿に成長していけばうれしいなと思うが、自然は正直ですからね。人間が思うようにはならない」と話していた。

 そして11日朝。「前日夕、7割ほど残っていた」(宮坂宮司)氷は、強風と波で広範囲に解氷が進み、氷は河口付近に見られるのみとなっていた。

 この先、氷点下10度が続くような天候は見込めないとして、宮坂宮司は明けの海を判定。残氷がきしんで擦れ合う「キュー、キー」という音が湖畔に響き、「いま、氷が鳴いている。名残を惜しむような悲しい音に聞こえる」と寂しげに話した。岡崎大総代(63)は「明けの海は残念だが、充実した観察ができ感謝しかない。来季は拝観したい」と願う。

 38日間、延べ1300人を超える人が湖岸に立った湖面観察。宮坂宮司は「温暖化に向かう過渡期として重要な観察をした冬だった。記録にしっかりと残し後世に伝えていきたい」と決意を表し、締めくくった。

 今季の明けの海を知らせる「御渡注進状」2通は諏訪大社上社本宮の神前にささげられ、後日宮内庁に言上(ことあげ)、気象庁に報告される。【宮坂一則】

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