
政府は18日、次期温室効果ガス排出削減目標を盛り込んだ地球温暖化対策計画(温対計画)を閣議決定した。新しい目標は「2035年度に13年度比60%減、40年度に同73%減」で、18日中に国連に提出する予定。
新たな目標は、1990年度以降で排出量が最も多かった13年度を起点とし、50年ネットゼロ(排出実質ゼロ)まで同じペースで削減を続けることを想定し、その中間地点の値を採用した。現行目標の「30年度までに13年度比46%減」もこの経路上にあるという。
各国は35年以降を期限とする目標を、今月10日までに国連に提出することが求められていた。日本政府はパブリックコメント(意見公募)の結果を精査することなどを理由に、期限内の提出を見送っていた。
またこの日、各省庁の事務・事業に伴う排出削減計画も閣議決定した。削減目標は、国全体の削減率よりやや踏み込んだ「35年度同65%減、40年度同79%減」とし、40年度までに省庁など政府が保有する建築物に太陽光発電設備を100%設置するとしている。
23年の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の成果文書には、世界の平均気温を産業革命前から1・5度上昇に抑える世界共通目標の実現には「35年までに19年比60%減が必要」と明記され、日本に当てはめると「35年度までに13年度比66%減」に相当する。
このため、次期目標について議論していた環境、経済産業両省の審議会の合同会合では「35年度60%減」などの案に委員から異論が相次いだ。与党・公明党や脱炭素を推進する企業グループなどからも「政府の目標が低すぎる」といった声が上がっていた。【山口智】