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カーストを超えた恋愛の駆け込み寺=川上珠実(ニューデリー)


インドのニューデリーを拠点とする非営利組織「ダーナク」は、異なるカーストや宗教間のカップルを支援する駆け込み寺として注目を集めています。家族からの圧力や暴力、さらには名誉殺人の危機に晒されるケースが多く、ダーナクの共同創設者、アシフ・イクバル氏は「私たちが支えるので諦めないで」とカップルを励まします。また、ヒンズー教改革運動団体「アーリヤ・サマージ」も異なるカースト間の結婚を支援しています。こうした動きに対して、インド社会全体では恋愛結婚が受け入れられるかはまだ不透明ですが、個別の家族に変化をもたらす可能性があります。

 「暴力に訴えるのはやめましょう。話し合いましょう」。インドの首都ニューデリーの非営利組織「ダーナク」の事務所の壁には、こんな張り紙が張られている。

 ダーナクは、異なるカーストや宗教間のカップルを支援している駆け込み寺。反対を押し切って恋愛したことで家族からの暴力に直面し、故郷を追われてしまうケースが後を絶たないためだ。

 「あなたたちは一緒にいられます。私たちが支えますから、簡単に諦めないでください」。ダーナク共同創設者のアシフ・イクバルさん(52)は、家族のもとから逃げ出してきたカップルに対して、そう語りかけて励ましている。

 インド社会では、家族が選んだ同じカーストや宗教の相手と結婚する「アレンジド・マリッジ(お見合い結婚)」が一般的だ。異なるカーストや宗教間の結婚には否定的な意見が根強く、家族の意思に反する「ラブ・マリッジ(恋愛結婚)」に対する風当たりはとても強い。家族の名誉を傷つけたとして、親族に殺害される事件も起きている。

 イクバルさんは「私たちが支援するすべてのケースには、潜在的な名誉殺人の危険性があります」と説明する。結婚を諦めさせるために親族が外出を制限したり、仕事を辞めさせたりして、究極的には殺人に至ってしまうことがあるという。

 カップルにとってはいばらの道だが、支援者は他にもいる。ヒンズー教改革運動団体「アーリヤ・サマージ」は各地の寺院で、異なるカースト間の婚礼を積極的に受け入れている。ニューデリー市内にあるアーリヤ・サマージの宗教学校のスワミ・プラナブ・アナンド校長(78)は「私たちの考えに共感する人々は増えています」と力を込める。

 今後、恋愛結婚はインド社会でも広く受け入れられていくのだろうか。イクバルさんによると、一度は縁を切られた故郷の家族と対話の機会を探ろうとするカップルは多い。そして結婚から数年がたつと、親族が諦めて現状を受け入れ、和解することも少なくないという。

 イクバルさんはこう強調する。「社会を変えられなくても、一つの家族の中に変化を起こすことはできるのです」

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