
奈良県葛城市の当麻寺中之坊境内にある稲荷(いなり)社で15日、社殿(国登録有形文化財)の正面、背面、左右の側面の板に唐獅子など色とりどりの絵が描かれているのが見つかった。今後、県の文化財の専門家らが描かれた年代や作者、文化財的価値などを詳しく調べる。
稲荷社は中之坊の鎮守。松村実昭貫主(52)によると、社殿は高さ3・3メートルで江戸時代末期に建てられた。見つかった板絵は、正面の階段上に張り出した向拝部分(縦約18センチ、横約86センチ)に梅、背面(約72センチ、約85センチ)に霊鳥、左右の側面(共に約70センチ、約67センチ)には唐獅子がそれぞれ描かれていた。岩石などを砕いて粉状にした岩絵具が用いられたようだ。
稲荷社は、2024年7月から25年3月まで屋根替えや建物のゆがみを直すなどの修繕を施している。かねて背面の羽目板のすき間から絵らしきものが見えていたこともあり、この機会に4面の羽目板を全て外して確認した。
松村貫主は「中にこんな素晴らしい絵が隠れていたとは」と驚いた様子。神社仏閣の設計監理が専門で、今回の修繕を手がける大東設計(奈良市)の小林稔さん(33)は「色とりどりの絵が描かれているのは近世の時代性がよく表れている。非常に珍しい」という。専門家らの調査は20日までの予定で、その後は再度羽目板で塞ぐ。
一般公開は19日午前10時~午後3時。入山料(中学生以上800円、小学生400円)が必要。問い合わせは中之坊(0745・48・2001)。【松田学】