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パリのルーブル美術館で今後10年間かけて、大規模な改修・拡張工事が行われることになりました。詳細をQ&A形式で記者が解説します。
記者 マクロン仏大統領が1月末、美術館が誇るダビンチの名画「モナリザ」の前で発表しました。建物の老朽化などインフラ問題に加え、入館者増加に伴う混雑が課題となっているためです。
Q 建物はそんなに古いの?
A 建物は長らく王宮殿として使われ、フランス革命期の1793年に美術館として開館しました。1980年代に改築されましたが、デカール館長が仏文化相に宛てた文書などによると、老朽化により館内の各所で破損や水漏れがあり、温度調整の不備で美術品の保存状態が悪化しているそうです。2024年には、想定の倍以上となる約870万人が訪れました。ガラスのピラミッド前の入り口は大行列となり、過密状態の施設ではトイレや飲食施設が不足しているとも指摘しています。
Q 美術品も多そうだね。
A 収蔵品は古代から19世紀の幅広い分野で38万点以上です。3大至宝と言われるのが、モナリザと、いずれも古代ギリシャ彫刻の「サモトラケのニケ」と「ミロのビーナス」です。
Q 改修はどうなるの?
A 地元報道によると、総事業費は10年間で7億~8億ユーロ(約1130億~1300億円)かかる見通しです。入館前の行列緩和のため新たな入り口を整備し、モナリザのために専用の展示スペースを新設します。これにより入館者は年間1200万人の受け入れが可能になる見通しです。総事業費の多くは美術館の自己資金や寄付で賄う計画です。費用を捻出するため26年1月から、欧州連合(EU)以外からの外国人客の入場料が値上げされる見通しです。回答・鈴木玲子(外信部)