
和歌山県田辺市の認可外保育施設に預けられた生後5カ月の女児が2023年7月に急死した問題を巡り、県が設けた有識者らによる検証委員会は14日に公表した調査報告書で、過去に託児所の人員不足について行政指導していた市の対応について「改善勧告を検討するなど実効性を伴う措置が必要だった」と問題視した。
報告書は「保育士1人での運営が常態化し、基準が守られていなかった」と指摘。託児所を巡っては13~15年度、田辺市が保育士の人員不足について指導していたが、より重い勧告などの措置が取られていなかったほか、託児所に改善状況を確認したかどうかの記録が残っていなかったという。
亡くなったのは大阪府泉大津市の柴尾心都(こ)ちゃん。田辺市を訪れていた母親(29)が23年7月25日午前に「託児所めぐみ」(休園中)に心都ちゃんを預けたところ、心都ちゃんはその数時間後に意識不明の状態で病院に救急搬送され、間もなく死亡した。
心都ちゃんは寝返りでうつぶせになったまま体調が急変した疑いがあり、和歌山県警が司法解剖した結果、死因は窒息とみられることが分かっている。
託児所では当時、代表の女性保育士が1人で心都ちゃんら乳幼児計4人を見ていたといい、複数の乳幼児を預かる場合は2人以上の保育者を確保することを定めた国の指導監督基準に反していたことも明らかになっている。
県は24年9月、保育の学識経験者や弁護士、小児科医らをメンバーとする検証委員会を設置し、託児所や田辺市の対応について調査を進めていた。【駒木智一、芝村侑美】