
台湾の頼清徳総統は14日に総統府で記者会見し、自国の半導体産業の復権を掲げる米トランプ政権との対話を進めるとともに、貿易不均衡の是正に向けて対米投資や米国製品購入の拡大を促す姿勢を示した。
頼氏は記者会見に先立ち、安全保障政策を決定する国家安全会議の幹部会合を今年初めて開催。台湾の半導体産業に警戒感を示すトランプ大統領の発言などを受けたものとみられる。
トランプ氏は13日、半導体産業が台湾によって奪われたと改めて主張し、それらを「取り戻す」と宣言した。ホワイトハウスで記者団の質問に答えた。
トランプ氏は「半導体のほぼ全てが台湾製だ」と指摘。「台湾は我々の半導体ビジネスを奪った。インテルのような素晴らしい企業がいたのに奪われた」と語った。
これに対し頼氏は、米国は対外投資全体の4割超を占める最大の投資先だとした上で、対米投資に関する政府の補助をさらに強化すると述べた。さらに民主主義陣営内で半導体のサプライチェーン(供給網)強化に向けて協議することを提案し、トランプ氏が掲げる国内製造業復活に台湾が協力できると訴えた。
頼氏は自主防衛力強化に向けた特別予算の編成も表明。防衛費を対GDP(域内総生産)比で現在の2・5%から3%に高める。米国からの武器購入がさらに増えれば、中国の台湾侵攻に備えた負担の肩代わりを求めるトランプ氏に応えることになる。【台北・林哲平、ワシントン西田進一郎】