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「早く“あれ”が終わって」パン売り場で聞いたロシア人の本音


モスクワでの物価上昇が続いています。特に食品価格は年間で11.05%上昇し、バターは36.23%も値上がりしました。プーチン政権が開始したウクライナでの特別軍事作戦が原因の一つとされ、輸入品価格も上昇しています。一方で、軍需産業や国外流出の影響で労働力不足が深刻化し、賃金は増加しています。これに伴い、失業率は過去最低の2.3%を記録しましたが、2022年以降問題が続くと懸念されています。

 1月下旬、モスクワ中心部のスーパーマーケットで、年配の女性が手にした200グラムのバターを棚に戻した。いつも同じ国産品を買っているが、今回は控えたという。

 「あのバターは、前は1個140ルーブル(約220円)だったのに、今日は店の会員価格でも319ルーブルです。どこまで高くなるのでしょう」。女性は昨年10月までの半年間、国外在住の子どもの元に身を寄せていたため、帰国後に食品価格の上昇に驚いたと話した。

物価はどこまで高くなるのか

 ロシアでは、プーチン政権が2022年2月に始めたウクライナでの「特別軍事作戦」を背景に、軍需が経済をけん引する一方で、深刻な物価上昇(インフレ)や人手不足が続く。

 インタファクス通信がまとめた連邦統計局のデータによると、24年は年間で食品価格が11・05%上昇し、特にバターは36・23%も値上がりした。食品以外でもガソリンが11・13%、医薬品が10・61%など軒並み上昇した。

 プーチン大統領は昨年12月の大規模記者会見で「露経済は正常だ。外部からの脅威にもかかわらず発展し、全体的に状況は安定している」と主張した。だが、インフレ減速の気配は見えない。

 スーパーのパン売り場で品定めしていた高齢女性は「今年に入って一層、ものが高くなったように思う」とあきらめ顔。

 年金暮らしに心配がないか尋ねると、特別軍事作戦のせいだとほのめかすように「最高司令官(大統領)に聞いてください。早く“あれ”が終わってほしい」とこぼした。

輸入家電、値引きの理由

 価格上昇は輸入品でも顕著だ。モスクワ市内の家電量販店を訪ねると、テレビ売り場では多くの品に「特別価格」の札があった。中国の「ハイセンス」やオランダの「フィリップス」など大手ブランドの外国製品が並ぶ。

 男性店員に尋ねると、昨年12月以降、通貨ルーブル安を受けて一部商品を値上げしたという。テレビで2割ほど、パソコンも1割前後は高くなった。テレビは、12月に一定の駆け込み需要があったが、年明け以降の売り上げは低調という。

 店側は、値引きしてでも売り切った方がよいとの判断で、一部を割引価格での販売に切り替えた。男性店員はウクライナでの戦闘終結に期待を寄せ、「全て良くなれば値段も客も戻るでしょう」と楽観的に話した。

給与、ボーナス増に不安も

 ロシアでは物価上昇の一方、労働者不足を背景に賃金も上昇している。軍や軍需産業が高給で人手を確保しているほか、22年以降、人々の国外流出も起きたからだ。

 国内IT企業で働くシステムエンジニアの30代男性は、この1年間で給与が6%上がり、ボーナスも増えたと明かす。ただ、「普通の賃金の上がり方ではない。今後が不安だ」とも吐露する。

 連邦統計局によると、24年10~12月の失業率は2・3%で過去最低を記録した。露政府は12月、人口減少などを背景に30年までに労働市場で310万人が不足するとの見通しを示している。

 働き手確保の問題は長期化するとみられる。【モスクワ山衛守剛】

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