
福島県双葉町のJR双葉駅前で2026年春ごろのオープンを予定する公設民営型の商業施設のテナントと町との情報交換会が13日、町役場で開かれた。浪江町の居酒屋「こんどこそ」▽いわき市の「呑(の)み食い処ひかり家」が出すカフェ▽京都府南丹市の「fatマネジメント」が出す鉄板焼き店――が入居し、いずれも昼夜に営業する予定だ。【尾崎修二】
東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が最も長引いた双葉町は22年8月に住民の居住が再開したが、町内の居住者は200人弱にとどまる。飲食店の入る施設は町が駅の東側で進める街づくりの一環。町役場の新庁舎があるほか、25年夏ごろには公設の施設でイオン東北がスーパーを開業。旧東邦銀行双葉支店は小規模なシェアオフィスに改修する予定で、26年度中の開所を目指す。各施設は独立しており、住民や来訪者が歩いて回遊し、周辺で民間が出店しやすい環境をつくる。
情報交換会では、「こんどこそ」の大清水タミ子さん(72)が「20人ほどで宴会できる座敷を設け、テークアウトも用意する。お客さんの笑顔とおいしい料理を大切にしてきた。双葉で恩返しがしたい」とあいさつ。1987年に北隣の浪江町の中心街で開業し、双葉町民も訪れる人気店だった。原発事故で避難を余儀なくされたが、11年秋に避難先の二本松市で再開、18年秋には浪江町でも店を復活させ、県内2カ所で営業してきた。
双葉への出店に合わせて二本松の店はたたみ、自らの住まいも二本松から浪江に戻す。浪江の店は引き続き長男らが切り盛りし、双葉の店は大清水さん夫婦や孫2人らで営む予定だ。大清水さんは「双葉のお客さんには震災前から本当にお世話になった。少しでも活気のある街にするため、残された人生で一生懸命やりたい」と意気込みを語った。