
立憲民主党の野田佳彦代表は14日、「家計が第一 ムダな予算を生活応援へ」と題した3兆8000億円規模の2025年度予算案の修正案を発表した。政府・与党に修正案を受け入れさせて、夏の参院選に向けて弾みをつけたい考えだ。歳出改革や基金活用による財源捻出案も合わせて示し、政権担当能力をアピールした。
野田氏は14日の記者会見で「歳出拡大や減税をする時は、それに見合った財源を確保するという原則にのっとった」と説明。「言いっぱなしではなく、政権を取りに行こうと本気で思っている。政権を取るためのある種の訓練だ」と強調した。
旧民主党政権は09年衆院選マニフェストで無駄削減による財源捻出を掲げた。しかし、見通しが甘過ぎて、多くの政策が実現せず、政権から転落する大きな要因となった。その教訓と反省も踏まえた対応と言えそうだ。
少数与党となった石破茂政権に対して政策修正を求める他の野党の動きも念頭にある。国民民主党は所得税がかかり始める「年収103万円の壁」の引き上げ、日本維新の会は「社会保険料負担の引き下げ」などを、それぞれ自公と交渉中。与党側が財源不足を理由に消極的な姿勢を示す場面もある中、立憲は財源も合わせて示し、国民民主や維新との違いをアピールすることも狙う。
要求項目のうちのガソリンの暫定税率廃止や高校授業料の無償化は、国民民主や維新が自公との協議で求めているが、野田氏は「手柄の横取り」との見方は否定。いずれの政策も、旧民主党時代から主張していたと言及しつつ、「我々も後押しをする。野党ができるだけ主張すれば、与党が取り入れざるを得なくなる」と述べた。
立憲の修正案について、重徳和彦政調会長から説明を受けた自民党の小野寺五典政調会長は記者団に「来週にでも私たちの考え方を示したい」と評価は保留。一方、公明党の岡本三成政調会長は「財源まで検討事項に挙げてくれたことに、野党第1党としての責任も感じた」と一定の評価を示した。
野田氏は13日、国会内で記者団に「予算案の衆院通過や年度内成立に影響する心配がある中で、それを人質にとってというやり方は国民生活を考えたときに望ましいことではない」と述べ、予算審議での日程闘争を否定している。「熟議と公開」を掲げる野田氏が、予算修正をめぐり、自公にどこまで交渉力を発揮できるかも焦点となりそうだ。【池田直、高橋祐貴、野間口陽】