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70歳、卒論で「老化は衰退ではなく成熟」 憧れた女子大で学び直し


岡山県倉敷市の三谷原るり子さん(70)が、50年来の願いを叶え、ノートルダム清心女子大に編入学し、今春卒業します。彼女は幼稚園教諭や福祉相談員としての人生経験を活かし、「サクセスフルエイジング」をテーマに卒論を執筆しました。高校時代、ノートルダム清心女子大の渡辺和子さんに憧れを持ち、学び直しの機会を求めていました。家族の支援を受け、68歳で大学生活を始め、勇気ある挑戦と学び続ける姿勢が話題に。卒論発表では、老化を成熟のプロセスと捉え、ポジティブな考えや挑戦し続けることが豊かな老後に繋がると述べました。卒業後も学びを続け、夫が関わる子ども食堂を手伝う予定です。

 50年来の願いをかなえノートルダム清心女子大(岡山市北区)に社会人編入学した岡山県倉敷市の三谷原(みたにはら)るり子さん(70)が今春、卒業する。幼稚園教諭や社会福祉事務所相談員を務めた人生経験を背景に、「サクセスフルエイジング-豊かな老後を迎えるには-」のテーマで卒業論文をまとめた。年の離れたゼミ生らを前にした今月7日の卒論発表会で三谷原さんは「学ぶことは楽しい。前向きに生きることが大事」と呼びかけた。

 三谷原さんは高校生だったころ、ノートルダム清心女子大の学長や学園理事長を務めた渡辺和子さん(1927~2016年)を尊敬し、大学入試では同大英文学科に合格した。しかし、家庭の事情で岡山県立短大に進学し、幼稚園教諭となった。40歳を過ぎたころに同大の公開講座を聴講した際、渡辺さんから「いつでも学びにいらっしゃい」と声をかけられたことが心に残っていた。

 3人の子どもを育て上げ、幼稚園教諭を定年退職後、福祉事務所の相談員を8年務め、学び直しを思い立つ。迷いもあったが、オランダに住む長女から電話で「こっちでは70歳過ぎの大学生もいるよ」と言われ背中を押された。

 三谷原さんの挑戦に家族は驚きつつも応援してくれて、社会人編入学の英語の筆記試験、小論文、面接を経て68歳で人間生活学部児童学科3年生となった。夫の昼食を用意して登校し、帰宅後は授業の内容をパソコンで整理する毎日が続いた。「夫は駅までの通学用自転車やパソコンを買ってくれて感謝している」と話す。

 卒論は発達心理学の分野で、健康で幸せに年を重ねる「サクセスフルエイジング」をテーマに選んだ。夫が会社を定年後に米や野菜を作り、子ども食堂を核として人と交流する姿や、祖母が俳句や短歌作りを楽しみながら困っている人を助けていた思い出、自身のこれまでの生き方を題材に考察した。発表会では「人は生涯発達し続けることができ、老化は衰退ではなく成熟の過程。ポジティブに考えたり、新しい挑戦を続けたりすることがサクセスフルエイジングにつながっていくと思う」とまとめた。

 三谷原さんは学生生活を振り返り、「知らなかったことが分かることは楽しい。学びに年齢は関係ない」と話す。ゼミで指導した湯澤美紀教授は「ほかの学生への指導内容もノートにつけるほどの熱心さは周囲の刺激になった。卒論は三谷原さんしか導き出せない研究成果で、自慢のゼミ生」と評価する。

 3月14日に卒業式を迎える。夫が携わる子ども食堂を手伝いながら、4月からも聴講生として古代文学やキリスト教学、英語などを学ぶという。【石川勝己】

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