
米紙ニューヨーク・ポストは8日、トランプ大統領が7日、大統領専用機内で単独インタビューに応じたと報じた。トランプ氏は、ロシアによるウクライナ侵攻で起こった戦闘の停戦について、プーチン露大統領と電話で協議したことを明かした。ただし、協議した時期や回数などの詳細は明らかにしなかったという。
同紙によると、トランプ氏はプーチン氏と良好な関係を保っているとし、プーチン氏は「(戦場で)人々が死ぬのを止めたいと思っている」と指摘した。戦闘を終わらせる具体的な計画があると主張し、同席していたウォルツ大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に「協議を進めよう。彼らは会いたがっている」などと語ったという。
トランプ氏は7日の日米首脳会談の冒頭、ウクライナのゼレンスキー大統領と今週中に会談するとの見通しを示した。テーマは「ウクライナの資産の保全だ。彼らは地下にレアアース(希土類)などの資産を保有しており、その保全を望んでいる」などと言及。米国のウクライナへの支援継続の条件として、レアアースなどの供与を求める考えだ。
ゼレンスキー氏は14~16日にドイツのミュンヘンで開かれる安全保障会議に出席する予定で、米国から出席するバンス副大統領と現地で会談する見通しだ。
一方、トランプ政権のウクライナ・ロシア担当特使のケロッグ氏はロイター通信が1日に報じたインタビューで、ウクライナに対して選挙を実施するよう求めた。ケロッグ氏は「ほとんどの民主主義国家は戦時中でも選挙を行う。ウクライナもそうすることが重要だと思う」と主張した。
ウクライナではロシアの侵攻に伴い戒厳令が出されており、2023年10月に実施予定だった最高会議(議会)選挙と、24年3月の大統領選が延期された。戒厳令下での選挙は法律で禁じられているが、憲法では大統領選に関する戒厳令下での対応については記されていない。
ロイターによると、トランプ政権内ではウクライナに対して、初期の休戦の一環として選挙の実施に同意させる案を議論しているという。
プーチン氏はこれまで、ウクライナで選挙が実施されていないことを理由に「ゼレンスキー氏には正当性がない」などと主張している。【ワシントン西田進一郎、松井聡】