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農林水産省が5年に一度実施している統計調査「農林業センサス」の調査員が調査員証を紛失する事案が全国で相次いでいる。農水省などによると、2024年12月の調査開始以降、これまでに少なくとも計16件発生。調査員証は農水省が各自治体に配布したネックホルダーに入れて調査員が首から提げて使うが、ビニール製ケースのみが気付かないうちに外れた事案が半数以上を占める。1月に2件の紛失があった愛媛県は「調査員の不注意と勘違いされてしまう」と困惑している。
農林業センサスは、各都道府県が任命した調査員が農林関係者宅などを訪問し、調査票を配布・回収する。今回は全国で約14万人の調査員が関わっている。
農水省によると、紛失事案は首から提げるひもとカードケースを結ぶクリップ状の部品が外れる不具合によるものが目立つという。同様の紛失は過去にもあり、担当者は「実物を確認して今回は外れにくいケースを発注したつもりだ」と釈明。しかし、ケースのみが外れた事案は北海道や青森、奈良、長崎など少なくとも7道県で9件発生。1月23、26日に相次いで発生した愛媛県ではいずれも、首から提げていた調査員が調査中にいつのまにかケースが外れているのに気づいて発覚した。
全国で同様の紛失が相次いでいることを受け、農水省は1月、各都道府県に部品にテープを巻くなどの紛失防止策をとるよう注意喚起。また、調査員証の悪用は現在までに確認されていないが、調査員になりすまして個人情報などを聞き出す「かたり調査」への注意を呼びかけている。農水省の担当者は毎日新聞の取材に「次回の調査のときはこのようなことがないよう改善したい」としている。【広瀬晃子】