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国民民主、火消しに躍起 金融所得課税強化巡り「増税」批判広がる


国民民主党の税制調査会が提案した金融所得課税の強化方針が「増税」と批判されている。昨年の衆院選で減税政策を押し出した国民民主にとって、この批判は痛手だ。玉木雄一郎代表はSNSで方針が参院選の公約には直接影響しないと述べたが、反発が続いている。税調の具体的な提案は、格差是正を理由に金融所得課税を30%に引き上げるものだ。この方針がネットで「増税策」と捉えられ、党への不信感が広がった。国民民主では昨年の名古屋市長選で、「増税派」とされる候補が敗北した経緯もあり、慎重な対応を迫られている。

 国民民主党の税制調査会がまとめた金融所得課税を強化する方針を巡り「増税」との批判が広がっている。玉木雄一郎代表(役職停止中)らは「党として決まったものではない」と沈静化を図るが、昨年10月の衆院選で減税政策を強調して支持を伸ばしただけに批判の火消しに躍起だ。

 玉木氏は3日、自身のX(ツイッター)に「そのまま参院選の公約になるものではありません。皆様からのご意見も踏まえて議論を深める」と投稿した。

 国民民主の税調は昨年12月24日に発表した「2025年度税制改革と財源についての考え方」で「行き過ぎた格差を是正し、格差の固定化を防止するため、金融所得課税の強化を行う」と主張。「分離課税を30%に上げ、総合課税と選択できるよう目指します」と明記した。この記述がネット上で「増税」と受け止められ、「支持できなくなる」「がっかりだ」などの不満が拡散した。

 国民民主は昨年の衆院選公約で「手取りを増やす」をスローガンに、所得税がかかり始める「年収103万円の壁」の引き上げや、ガソリン減税の実施など減税政策を打ち出した。玉木氏が力点を置いたネット戦略も奏功し、議席を4倍に増やした。公約では「所得再分配機能回復の観点から、金融所得課税の強化を行う」とも記していたが、税調方針で具体的な数字に踏み込んだことで注目が集まったとみられる。

 ネット上で批判は収まらず、榛葉賀津也幹事長は4日のニッポン放送の番組で「政策をブラッシュアップしたり修正したりしている。うちはとにかく減税を訴え続ける政党」と強調した。税調会長を兼務する古川元久代表代行は5日の記者会見で「具体的な制度設計ではなく、こういう議論をしなくてはいけないということだ。(参院選の)選挙公約はまた別個検討して約束する」と釈明に追われた。

 国民民主にとって「増税」イメージの拡散には、苦い経験がある。昨年11月の名古屋市長選では、自民、立憲民主、公明との4党相乗りで、国民民主を離党して無所属で出馬した大塚耕平元参院議員が敗れた。「減税」を強調する相手候補に対し、対応を明確にしなかった大塚氏に、SNS(ネット交流サービス)上で「増税派」とする投稿が広まった。党内では、名古屋市長選での敗北が今回の党幹部の対応に影響したとみられている。

 ネット世論を意識するあまり党税調の方針を党幹部が否定する展開に、立憲幹部は「国民民主も減税一本やりではないのに、おもねりすぎだ。党のガバナンスが機能してない」と冷ややかに語った。【遠藤修平、安部志帆子】

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