
パナソニックホールディングス(HD)は4日、テレビ事業からの撤退を検討していることを明らかにした。事業の売却も含めて検討する。同社が開いたオンラインによる経営方針説明会に出席した楠見雄規社長が明らかにした。
同社は、前身の松下電器産業時代の1952年に白黒テレビを発売。60年にカラーテレビを売り出し、東京オリンピック(64年)などでのテレビの普及期を支え、テレビは「家電の王様」と呼ばれる存在になった。
21世紀に入り、テレビに薄型化の波が押し寄せると、2003年にプラズマや液晶などの薄型画面を採用した「ビエラ」を発売し、薄型テレビ市場に本格参入。自前で製造するスタイルにこだわった同社は、兵庫県尼崎市などに大型の工場を建設し、07年度にはテレビ事業の売り上げが1兆円に達した。しかし、アジア勢との価格競争で消耗し、規格競争にも敗れ、赤字体質に転落していた。
楠見社長は記者会見で「方向性としてだが、売却するかどうかはコメントできないし決めていない。売却以外の選択肢もある。さまざまなポーションに関していろいろ進めている。高収益な事業の固まりにしていくにはやり方を見直していかなければいけない」と述べた。
また、同社はパナソニックHD傘下で家電事業や電設資材などを手掛ける「パナソニック」を25年度中に解散し、HD傘下に事業ごとに再編した子会社を設立すると発表した。楠見社長は「経営改革が必要と判断した」と述べた。【宮﨑泰宏】