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ウクライナメディア、トランプ氏就任演説を詳報 「紛争回避を重視」


ウクライナメディア「キーウ・インディペンデント」が、トランプ大統領の就任演説について報じた。トランプ氏は戦争の終結と紛争回避を重視する大統領としてのビジョンを強調しつつも、ウクライナについては具体的な言及をしなかったことが注目された。トランプ氏は選挙期間中、就任後24時間以内にウクライナの戦争を終結させると発言していたが、その目標は「100日以内」に修正されている。ゼレンスキー大統領はトランプ氏の就任を祝ったものの、トランプ氏のNATO脱退の可能性を示唆する過去の発言や、ロシアのプーチン大統領への共感と受け取られる発言から、ウクライナに不利な妥協が行われる懸念があると報じられた。市民の中にはトランプ大統領が停戦を実現することを期待する声もある。

 ウクライナメディア「キーウ・インディペンデント」は20日、「トランプ米大統領就任の宣誓 ウクライナに言及せず」とのタイトルでトランプ氏の就任演説を詳報した。

 トランプ氏が「我々の成功は、戦争に勝利することだけでなく、戦争を終結させること、そして何よりも戦争に巻き込まれないことによって評価される。平和をもたらす調停者であり、統一者であることが、私が最も誇るべき実績となるだろう」と述べた部分に注目し、トランプ氏が「紛争回避に重点を置く大統領としてのビジョンを強調した」と報じた。

 一方、就任演説でウクライナについての具体的な言及がなかったとも伝えた。トランプ氏が当初、就任後24時間以内にウクライナの戦争を終わらせると発言していたものの、課題が山積していることなどから「100日以内」に修正したことなどを紹介した。

 記事ではまた、ゼレンスキー大統領がトランプ氏の就任を祝福するメッセージを送ったことを報じるとともに、米国とウクライナとの今後の関係について、トランプ氏が過去に北大西洋条約機構(NATO)脱退の可能性を示唆したことや、ロシアのプーチン大統領への共感と受け止められる発言をしたことなどから、「(停戦交渉に向け)ウクライナにとって不利な妥協が行われる可能性が懸念される」と分析した。

 ウクライナの政治ジャーナリスト、ビタリー・ポルトニコフ氏は21日、ユーチューブに投稿した動画で、「トランプ氏が就任演説でウクライナについて一言も言及しなかったのは、トランプ氏にまだ発言できる内容がないことを示す。選挙期間中にトランプ氏は停戦を実現すると発言したが、まだ具体策がないのだろう」と分析した。

 一方、キーウ市内の市場でパンを売るオルハ・カリノフスカさん(53)は「夫が2カ月前に徴兵され、心配している。これ以上、犠牲者が増えるのは耐えられない。トランプ大統領が停戦を実現してくれることを期待している。それが一時的な停戦でも構わない」と話した。【キーウ宮川裕章】

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