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台湾で5年ぶりに死刑執行 強制性交殺人罪 頼清徳政権で初


台湾政府は16日、30代男性死刑囚の死刑を台北刑務所で執行したと発表。これは強制性交殺人罪によるもので、2020年以来約5年ぶりの執行である。現政権初の死刑執行となったが、民進党政権全体としては死刑執行に消極的とされる。反面、台湾の約8割の世論は死刑廃止に反対している。2013年に元交際相手と母親を殺害した罪で死刑が確定したこの囚人は、憲法に基づく生存権との矛盾で死刑制度の新解釈を求めていたが、対して憲法法廷は合憲と判断。法務部長は死刑執行の慎重さと正義の実現を主張したが、市民団体からは手続きの正当性に批判が出ている。

 台湾法務部(法務省に相当)は16日、強制性交殺人罪などに問われた30代の男性死刑囚の死刑を台北刑務所内で執行したと発表した。死刑執行は2020年4月以来約5年ぶりで、24年5月に発足した頼清徳政権では初めて。蔡英文前政権を含めて民進党政権は死刑執行に消極的とされてきた一方、世論の約8割は死刑廃止に反対している。

 死刑囚は軍人だった13年に北部・新北市で元交際相手の女性やその母親を殺害したとして死刑判決を受けた。弁護側は量刑を不服として上訴したが、17年に最高法院(最高裁に相当)が棄却、刑が確定した。

 死刑制度を巡っては、今回執行された男性を含む37人の全確定死刑囚が生存権を定めた憲法に違反するとして、新解釈を求める訴えを提起。憲法法廷は24年9月の判決で、死刑を合憲としつつ、「最も厳格な法的手続きを満たす場合のみ適用される」と述べ、裁判官の全員一致などの運用条件を示した。

 鄭銘謙法務部長(法相に相当)は17日、死刑執行は非常に慎重に協議され、法に基づいて正義を実現したものだと強調した。一方、市民団体「台湾死刑廃止推進連盟」などは「死刑判決は憲法が求める厳格な手続きに沿ったものか疑義がある」として執行を強く批判する声明を発表した。【台北・林哲平】

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