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「グリーンランド売却反対」 デンマーク首相がトランプ氏と電話協議


デンマークのフレデリクセン首相は、トランプ次期米大統領との電話会談で、トランプ氏が関心を示すデンマーク領グリーンランドの売却に反対する立場を明確にしました。グリーンランドの自治政府も「売り物ではない」との立場を示しつつ、米国との関係強化を模索しています。会談では、安全保障の強化やデンマーク企業の米国への貢献についても話し合いました。トランプ氏はグリーンランドの獲得に向け、軍事力や経済制裁を視野に入れており、高関税も示唆しましたが、具体的な対話継続の方針が確認されました。グリーンランドのエーエデ自治政府首相は独立志向を示しつつ、対話の意思を述べています。

 デンマークのフレデリクセン首相は15日、米国のトランプ次期大統領と電話協議した。デンマーク首相府によると、トランプ氏が購入に意欲を示すデンマーク領グリーンランドについて、売却に反対する立場を伝えた。一方、グリーンランドの自治政府からは将来的な独立も視野に、米国との関係強化を模索する動きもある。

 発表によると、電話協議は約45分間続いた。フレデリクセン氏は、グリーンランド自治政府の「グリーンランドは売り物ではない」とする見解に言及。その上で、「独立を決定するのはグリーンランドの判断だ」と指摘した。

 またフレデリクセン氏は北極圏の安全保障に関して、強化する重要性に加え、デンマークがより大きな責任を担う用意があることも強調。デンマーク企業が米国の成長や雇用に貢献していることも説明した。両氏は対話を継続することで一致したという。

 ロイター通信によると、現状ではグリーンランドに配備されているのは警戒船4隻、偵察機1機と犬ぞり隊だけだが、デンマークはF35戦闘機の配備などを検討している。

 グリーンランドを巡っては、トランプ氏は獲得のためには軍事力や経済的な手段の行使も排除しない姿勢を示している。デンマーク側が拒否すれば、高関税をかけるとも脅している。

 報道によると、トランプ氏は電話協議で高関税をかける方針を撤回しなかった。フレデリクセン氏は16日の記者会見で状況は深刻だとの認識を示した。

 一方、グリーンランドのエーエデ自治政府首相はこれまで、自分たちが暮らす島は「売り物ではない」と強調しながら、「(トランプ氏との)対話の用意はある」と発言している。防衛面や地下資源の採掘で米国との協力関係を強化する狙いだ。

 1953年まで本国の植民地だったグリーンランドでは、人口約5万6000人の多くを先住民族のイヌイットが占め、長年にわたり独立を望む世論がある。今回のトランプ氏の発言を独立へ向けた好機とする見方も一部にはあり、エーエデ氏は米側の出方を慎重に探っている模様だ。

 独立志向を公言してきたエーエデ氏は10日、「デンマークとの関係を断つつもりはない」と述べつつ、独立への願いは「誰もが尊重すべきことだ」と語り、こう訴えた。「私たちはデンマーク人にも米国人にもなりたくない。グリーンランド人でありたいのだ」【ワシントン松井聡、ベルリン五十嵐朋子】

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